地球温暖化防止の取り組み  過去掲載分(2011年)

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基本的な考え方

ミネベアグループの事業活動を含むすべての経済活動や社会の営みは、わたしたちの暮らす地球の安定と繁栄があってこそ成り立つものです。近年、世界規模の問題として認識されている地球温暖化問題についても、その影響によりエネルギー価格の上昇や、異常気象の発生など事業活動の継続にも大きな影響を与える要因として認識しています。

当社グループは地球温暖化対策に取り組むべく、1993年の「ミネベア環境憲章」制定以降、積極的に省エネ対策を進め、成果を得てきました。しかし、各工場、事業所ごとにそれぞれの代表的な対策を終え、今後さらに改善を進めるためには、より多くの知見や具体的な成功例、プランを事業部の垣根を越えて共有する必要があると考えました。

当社グループでは、2010年1月に省エネ、地球温暖化対策を全社的な活動へとステップアップするために「省エネ推進部会」を発足させました。省エネ推進部会には全事業部より委員が選出されており、事業部相互が持つ有益な知識、技術や省エネ対策を横展開することで、地球温暖化防止に向けた一層の取り組み強化を図っていきます。

2010年度の取り組み結果

画像:CO2排出量推移 2010年度のミネベアグループ全体の総CO2排出量は、508,081トンで、2009年度と比較して約20%増加しました。業績の回復とともにグループ全体の工場、生産設備の稼働率が上昇したことや、CO2排出量集計に新たな工場が加わったことなどがその要因です。

また、2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響で、日本国内では東京電力株式会社管内、東北電力株式会社管内を中心に大幅な電力不足が続き、首都圏を中心に計画停電も実施されました。当社グループの藤沢工場や松井田工場でも昼の生産を夜間に変更するなどの対応を行いました。

引き続き日本国内においては、節電に協力していきます。

事業所における取り組み

鋳造工場のエアコンの局所化(ロジャナ工場)

画像:作業および通路エリアにエアコンが効くように設置されたトンネル型パーテーション 1

画像:作業および通路エリアにエアコンが効くように設置されたトンネル型パーテーション 2

作業および通路エリアにエアコンが効くように設置されたトンネル型パーテーション

鋳造工場には、アルミ溶解炉や鋳造炉など大型の高温度設備が多数設置されており、これらの稼働により工場全体の室温は非常に高温になってしまいます。そのため、工場内各所のエアコンがフル稼働しても工場内を十分に冷やすことはできませんでした。

2010年3月、ミネベアグループの主要鋳造工場であるタイのロジャナ工場では、従業員の作業および通路エリアを高温度設備エリアから遮蔽するトンネルを設け、このトンネル内を集中的に空調管理するようにエアコンの局所化を行いました。これにより、従業員の作業環境の快適性が改善されるとともに、エアコン能力にも余裕が生じ、省エネルギー化にも貢献することができました。

油圧ポンプの間欠運転による省エネ推進(保全部、省エネ推進部会)

ミネベアグループの機械設備には油圧を動力源として動作するものが多くあります。この油圧は一般的には常時油圧ポンプを回転させて圧力を保ち、機械の動作時に動作対象の切り替え弁や電磁弁を開くことで油圧シリンダーに油を送り、機械のプッシャーやアームなどを押し動かす仕組みです。

当社グループでは、省エネ推進部会の活動において、保全部よりアキュムレーター(蓄圧器)を油圧ユニットに取り付けることで油圧ポンプを間欠運転とすることが可能となり、装置の稼働消費電力をおよそ30%削減できるという検討結果が提示されました。

以後、省エネ推進部会では各事業部に対して「油圧ポンプの間欠運転化」の改良を推奨しています。

画像:油圧ポンプの間欠運転による省エネ推進

省エネ推進の積み重ねによる地球温暖化防止(チャッツワース工場)

画像:チャッツワース工場の電力消費量の推移 米国市場向けボールベアリングを、構成部品の加工から組立までを一貫生産するNHBB(New Hampshire Ball Bearings, Inc.)のチャッツワース工場は、さまざまな省エネ推進を積み重ねて地球温暖化防止に効果を得ています。

2008年度に年間8,181,250kWhであった電力消費量が、2010年度は年間7,144,000kWhとなり、約13%削減されました。以下に取り組んだ省エネ推進の一部を紹介します。

  • オフィス、製造工程エリアの照明機器改良
  • トイレ、廊下への光センサー設置による照明の自動化
  • ミストコレクター、排気ファンへのインバーター取り付けによる機器の効率化
  • 建物内の外光が入る廊下などの照明の間引き
  • 建物の空調設備を管理する制御システムのアップグレード
  • コンプレッサーの間欠制御ができるよう空調機にコンプレッサー制御装置(Aircosaver)※を取り付け

※空調器コンプレッサーと連動させて、蒸発器コイルが冷え切っている間、空調機のコンプレッサーを停止させ、不必要に蒸発器コイルを冷却し続けることを制御する装置。

オフィスにおける取り組み

温度計の設置による「室温の見える化」(浜松工場)

画像:浜松工場の各オフィスに設置された温度計

浜松工場の各オフィスに設置された温度計

オフィス内を夏に冷やしすぎないこと、冬に暖めすぎないことは、オフィスの省エネ、地球温暖化対策の重要な取り組みであると考えています。

個人の感覚差を無くし、皆が同じ基準で室温を管理するには「室温の見える化」が必要です。浜松工場では、すべてのオフィスに大型の温度計を設置して、室温の見える化を行いました。旧式の空調機のため、精密な温度コントロールのできないオフィスであっても、室温が明確になるため、手動でのスイッチの入切を行う基準が明確になりました。

月例定時退社日の設定(日本)

ミネベアグループでは、以前より日本の環境省の取り組みに賛同し、6月(夏至)と7月(七夕)の「CO2削減/ライトダウンキャンペーン」の日に国内すべての工場・営業所が一斉に定時退社を実施し、従業員の地球温暖化問題への意識高揚を図ってきました。

しかし本来、地球温暖化問題に対する取り組みは一時的なものではなく、定期的、継続的なものであるべきとの観点から、2010年8月より毎月第3水曜日を「定時退社日」として定めました。この取り組みの開始に当たり、人事総務部長と環境管理担当役員の連名により以下のように通達されました。

新たに全社での取り組みとして、毎月第3水曜日を「定時退社日」として位置付け、消灯はもとより、可能な範囲で事務所内の電気機器の電源も消していただく日といたします。

以後、毎月第3水曜日には、各工場、事業所共に速やかにオフィスの照明・空調の電源を切り、退社しています。

物流・移動における取り組み

モーダルシフトの取り組み

画像:海上コンテナのまま船積みし、荷降ろし

海上コンテナのまま船積みし、
荷降ろし

ミネベアグループは、中国と日本との間における製品、機械設備、資材などの輸出入に上海~博多間を高速フェリーで、博多~東京間をJR貨物列車または内航船を利用しています。この輸送ルートを利用することで従来の上海~東京間を一般貨物船のみで輸送するよりも大幅にリードタイムを短縮し、しかも航空輸送に比べ、格段に少ないエネルギー消費量(CO2排出)で運搬できます。

リードタイムの短縮を果たし、かつ省エネルギー化が可能になった背景には、港湾大型クレーンを使用せずに直接トラックでコンテナの船積み、荷降ろしを行うことができる高速フェリー船(RORO船※)の利用が大きく貢献しています。

※RORO船(Roll on & Roll off 船):港湾の大型クレーンを使用せず、トラックコンテナのまま船積み、荷降ろしが可能であり、時間が短縮できる高速フェリー船。

今後の目標・課題

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は第4次評価報告書において、2050年の地球温暖化に対する最良の安定化シナリオを「2000年比CO2排出量-85%~-50%」としています。

これに対する各国、各企業の動向なども加味し、ミネベアグループの中長期CO2削減目標値を今期中に設定するため、取り組んでいきます。

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