コーポレートガバナンス

更新日:2025年12月8日

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社外取締役メッセージ(2025年8月)

社外取締役の責務 ― 経営の健全性を見極める 社外取締役 芳賀 裕子

社外取締役に課された最も重要な役割の一つは、経営陣の意思決定や執行の健全性を確かめること、すなわち「モニタリング」。しかし「監督」ではなく、企業の中長期的な価値創造に向けて、挑戦とリスクのバランスを見極める行為だと考えています。

事業ポートフォリオの視座 ―多角化戦略のモニタリング

ミネベアミツミは、経営理念である「持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」のもと、戦略的な多角化を推進しています。その中核にあるのが「8本槍戦略」によるポートフォリオ経営です。コア事業の深化、ニッチ分野での優位性、そして「相合」による技術・市場横断のシナジー創出という戦略は、従来のPPMやROIC指標だけでは捉えきれない複雑性と独自性を有しています。このため、社外取締役としてのモニタリングでは、単に個々の事業の採算性や成長性を確認するにとどまらず、事業横断的な統合価値の可視化や中長期的な成長性への洞察が求められます。そのため、取締役会以外の場を設け、執行取締役と率直な意見交換を重ね、長期的な成長戦略や現行ポートフォリオの評価、今後の方向性について実質的・戦略的な対話を重ねてきました。そして現在の事業ポートフォリオの妥当性をどのようにしたら投資家の皆様に効果的に開示できるのか、まだ多くの課題が残るこの点について工夫を重ねたいと思います。さらに、M&Aや新規投資、撤退の判断といった局面でも、事業セグメントごとの意思決定に対し、取締役会は健全性と全社的な妥当性の観点から検証を加えています。ミネベアミツミの「挑戦する文化」が健全に機能し続けられるよう、社外取締役として伴走し、支えていきたいと考えています。

グループガバナンス ―「攻め」と「守り」のバランス

ミネベアミツミは、積極的なM&Aにより国内外に多数の関連会社を擁する企業グループへと発展してきました。関連会社が増える中、グループ全体の統治を高度に維持することは、今後の企業価値を左右する極めて重要なテーマです。ガバナンスの第一歩は、本社の統治フレームワークを明確にし、それをグループ各社に浸透させることです。しかし、それだけでは不十分であり、継続的なモニタリングを通じて経営状況・リスク・コンプライアンスを可視化し、コーポレートが把握し、実効性のあるフィードバックをする必要があります。
当社は「相合」によって生まれる相乗効果を競争力の源泉としています。グループ会社の組織体制と事業セグメントは必ずしも一致しませんが、それぞれの収益性・成長性・効率性を事業ポートフォリオの観点から分析・評価し、取締役会は攻めのガバナンスをおこなう必要があります。
一方で、守りのガバナンスとして、内部統制やリスクマネジメントの徹底も不可欠です。監査役、内部監査部門、独立取締役間で定期的に情報交換をおこない、取締役会での報告・議論を通じて環境変化や法令遵守への対応力を高めています。これらは単なる制約ではなく、企業の挑戦を支える「健全な土壌」であると捉えています。
そして何より重要なのは、グループ全体に共有される価値観と文化です。「相合」は技術の統合にとどまらず、人と人との共創によって生まれるものです。そのため、社員のエンゲージメントレベルをアンケートで可視化し、現場の声に耳を傾け、挑戦を後押しする風土づくりに注力しています。会長・社長が多忙な中、多くの時間を使っていただいているタウンホールミーティングなどを通じた現場との対話や人材育成の深化、それらがガバナンスの本質と捉えています。

挑戦を支える ―ガバナンスの力

守りのガバナンスの充実は、攻めのガバナンスを可能にし、「相合」による新たな価値創出へとつながっていきます。社外取締役として、果敢な挑戦を続けるための礎となるガバナンスを、これからも丁寧に実施していきたいと考えています。

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