事業等のリスク

当社グループは、業務遂行や事業活動に直接又は間接的に影響を与える可能性のある不確実な事象をリスクと定義しており、業務の遂行リスク管理を行う組織としてリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会では、具体的なリスクを想定、分類し、有事の際の迅速かつ適切な情報伝達と緊急体制を整備し、リスク管理に関する事項を取締役会に報告を行っております。
このような中で、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクの内容と対応を外部環境及び内部環境の観点から記載をしております。なお、文中の将来に関する主要なリスクは、2020年3月期末現在において、当社グループが判断したものであります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点で予期できないリスクの影響を受ける可能性があります。

外部環境

①、自然災害等によるリスク

当社グループは、平時より自然災害等の発生を想定した防災訓練・危機管理体制を強化すべく本部・各拠点が緊密に連携しリスクへの対応に努めております。
しかしながら大規模な地震、洪水等の自然災害並びに新型感染症の発生等により、当社グループ及び当社グループ取引先の事業拠点が被災した場合、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルスの影響について

新型コロナウイルスに関しては、当社グループ内への感染拡大を防止するため、社長執行役員を本部長とする対策本部を立ち上げ、グローバルな新型コロナウイルス対策会議を開催し、中国で行った対応策を世界の全工場、従業員に展開して防疫管理体制を確立し、安全操業に努めました。また各国政府による操業停止指示のあった地域では、グループ内で行った徹底した感染防止対策を説明し、早期の操業再開を達成いたしました。

主な対策事例
  • 全社員へのマスク着用、手洗い、食堂での私語禁止など公衆衛生教育の徹底
  • 体調不良時の自宅待機基準を明確にした管理方法の徹底
  • SNS(LINE、WeChat)及びQRコードを活用し、全社員の検温を含む体調管理及び出勤可否の確認、社内での行動履歴の把握
  • 安全操業を最重要視し、地元政府と密接に連携
  • 感染防止に向けたインフラの整備
  • 事業・製品ごとの適正在庫政策、残業管理、一時帰休又は稼働日調整の実施
  • 時差出勤、在宅勤務、Web会議の活用、海外・国内出張禁止、不要不急の外部との接触を自粛等
ステークホルダーに向けた施策例
  • 2020年4月より供給責任及び社会的責任を果たすため、安全操業を目的とし、約10万人の従業員及びその家族向けにマスクの自社生産を開始
  • 2020年6月より日本国内において高品質マスクの供給に向けた外販用マスクの生産及び販売を開始
  • 災害用に備蓄していたN95マスク22万枚及びその他医療用アイテムを150の医療機関、政府機関等に寄贈
  • 医療体制の維持貢献に向け医療機器に使用される部品を優先的に生産
経営成績への影響について

新型コロナウイルス感染拡大は、経済や企業活動に広範な影響を与える事象であり、当社グループにおいても外部環境の変化による売上減少及び各国の移動制限等による工場の稼働低下の影響を受けております。当連結会計年度の業績においては、売上高への影響は約300億円、営業利益への影響は売上減により64億円の減少、各国での感染防止対策費用及び工場での稼働損失による影響が26億円ありました。なお、新型コロナウイルスの感染が長期化した場合、当社グループの経営成績にさらに影響を及ぼす可能性があります。

財務への影響について

現時点においては、各国金融当局が積極的に金融市場への資金供給を行っており、当社の資金繰り及び財務の安定性に大きな影響を与える可能性は限定的と認識しておりますが、金融市場が大きく混乱した場合、資金調達コストの上昇や新規の資金調達へ影響を与える可能性があります。感染拡大の影響は予測が困難なため、短期的には新たな投資活動の抑制や、安定的な資金調達に努めてまいります。

生産活動への影響について

感染が拡大し、各国政府の要請等により事業活動及び行動の制限が強化された場合、工場の稼働停止等、当社グループの生産、販売活動に重大な影響を与える可能性があります。
2020年6月時点における主な生産拠点の状況は下記のとおりです(括弧内は2020年3月期生産比率)。

地域 状況
アジア(74%) 中国 通常操業時とほぼ同等の稼働
タイ 通常操業時とほぼ同等の稼働
カンボジア 通常操業時とほぼ同等の稼働
フィリピン ルソン島:通常操業時とほぼ同等の稼働
セブ島 :通常操業時とほぼ同等の稼働
マレーシア 通常操業時とほぼ同等の稼働
欧州(8%) 医療/航空向け:操業度を下げて稼働
自動車向け  :操業度を下げて稼働
北米及び中南米(5%) アメリカ 操業度を下げて稼働
メキシコ 6月より稼働再開
ブラジル 5月より稼働再開
サプライチェーンへの影響について

調達については、当社グループの生産拠点では政府による操業停止指示のあった中国、マレーシア、フィリピン等の資材調達先で操業再開の時期に差が見られました。現時点で部材の納入状況に問題はないものの、今後の感染拡大の状況によっては影響が顕在化するおそれがあります。
物流については、各国の移動規制が物流面にも大きな影響を与え、船便及び航空便の減便やリードタイム延長により、当社グループにおける工場の操業及び顧客向けの出荷に影響を与えました。
当社グループは、事業継続計画(BCP)の観点から、調達先の地域の見直しや複数社からの調達(マルチソース化)、基幹部品のさらなる内製化、物流ルートの見直し等、サプライチェーンの見直しに着手しております。

②、海外進出に潜在するリスク

当社グループの生産の多くは、タイ、中国、フィリピン、カンボジア等海外で行われております。海外進出後、長期間が経過し、地場との融合が行われておりますが、予期しない法律もしくは規制の変更、人材の採用と確保の難しさ、テロ、戦争又はその他の要因による社会的混乱といったリスクが内在しております。このため、海外進出に潜在するリスクの対応として危機管理マニュアルを海外拠点において整備し、不測の事態への備えを強化しております。また、所在国・地域の関係当局とも緊密に連携をはかるとともに、事態発生時における正確な情報収集に基づいた早急な対応により、会社や従業員の安全確保に努めております。さらに、海外量産工場の展開とグローバルな研究開発体制により、外部環境の変化に効果的な製品ミックスとグローバル生産拠点が相互に補完し、収益を下支えする「リスク分散体制」を確立しております。
2020年3月期において、2019年5月に施行されたタイの労働者保護法改正による影響として退職給付費用2,790百万円を当連結会計年度において計上しております。

③、為替変動によるリスク

当社グループは、海外売上高比率及び海外生産高比率が高いため、為替相場の変動によるリスクがあります。変動によるリスクがあります。このため、将来の急激な為替リスク低減のための為替予約等を中心とするリスクヘッジを行っておりますが、予期できない急激な為替変動は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

④、急激な市場環境の変化と低価格競争によるリスク

PC及び周辺機器、情報通信機器、家電、自動車、航空機部品を中心とする当社グループ製品の主要市場は、国内外において競争が非常に激しく需要が大きく変動によるリスクがあります。急激な需要の縮小や海外製の低価格製品との価格競争は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
このため当社グループでは、「コア事業の強化」、「多角化でニッチ(8本槍)」、「相合によるシナジー創出」の経営戦略の下、販売先の集中リスクをできるだけ回避し、信用面で懸念がある取引先には保全活動を交渉するなど、債権管理を強化するとともに、価格競争に捉われないオンリーワンの付加価値の高い製品づくりに注力することで市場環境及び低価格競争へのリスク対応を行っております。

⑤、原材料費、物流費等のコスト高に対するリスク

当社グループは、サプライヤーとの健全なパートナーシップを築くため「資材調達基本方針」を定めており、サプライヤーに対して継続的な取引が可能であること、当社グループの製品含有化学物質に関する要領及び基準などを遵守できること、「ミネベアミツミグループCSR調達ガイドライン」に賛同できることなど当社グループの資材調達への考えに賛同いただくことを確認の上、新規に取引を行っております。
「資材調達基本方針」の考えの下、調達価格の安定化をはかるべく複数のサプライヤーから生産に必要な原材料等調達の分散に努め、また生産性改善によるコストダウンを進めることで原材料費、物流費等のコスト高に対するリスクへの対応を行っております。しかしながら予期できない自然災害、感染症、事故、倒産等によりサプライヤーの経営状態が著しく悪化し、原材料等の供給制限などが生じた結果、急激な原材料等の価格が上昇した場合は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥、未払退職金及び年金費用

当社グループは、運用収益の悪化による年金資産の公正価値の減少、割引率の低下、昇給率やその他の年金数理計算に使用する前提とする比率の変動による退職給付債務増加に伴い積立状況が悪化した場合には年金費用が増加するリスクがあります。結果、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。このため当社グループは複数の確定給付制度を有し、特定の資産運用に集中させることでリスクへの対応を行っております。

⑦、重要な訴訟等に対するリスク

当社グループは、国内及び海外への広範な事業活動を展開する中で、将来、重要な訴訟等が提起されるリスクがあります。独占禁止法、製造物責任法、知的財産法をはじめとするさまざまな法律に関わる訴訟リスクが想定されますが当社グループでは重要な訴訟等が発生した際の対応を法務部が一括して管理し顧問弁護士とともに行っております。しかしながら将来、重要な訴訟等が提起された場合には経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

⑧、環境関連法令等に対するリスク

当社グループは、世界各地域において、さまざまな環境関連法令の適用を受けるリスクがあります。このため「ミネベアミツミグループ環境方針」の下、環境マネジメント体制(環境マネジメント委員会)を設け環境管理責任者を配し、厳格な環境汚染防止活動を平時より推進しリスクへの対応を行っております。細心の注意を払いながら事業を行っておりますが、万一環境汚染が発生し又は発生のおそれが判明した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

⑨、M&A・アライアンスに対するリスク

当社グループは、M&Aとアライアンスを最重要施策の一つと位置付け推進しておりますが、市場環境の変化等に起因し、さらにアライアンスにおいては相手先との戦略の不一致等が発現し、当初想定した効果を生まないリスクがあります。このようなリスクへの対応として当社グループは、M&Aにおいては人材と組織の融合、アライアンスにおいては知見の相互活用を重視し、シナジーの創出をはかっております。しかしながら、事業環境の変化により買収企業やアライアンス事業において想定以上の収益性の下振れや財務内容の悪化が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

内部環境

①、コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、世界各地の法令、規則の適用を受けながら事業活動を行っており、これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等があれば、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、お客様からの信頼を失う可能性があります。当社グループでは、労働、安全衛生、環境保全、倫理的経営について「ミネベアミツミグループ行動規範」を定め、さらに全ての役員・従業員が遵守すべき具体的な基準として「ミネベアミツミグループ役員・従業員行動指針」を定めております。また、その徹底をはかるため、コンプライアンス委員会を設置して、当社グループのコンプライアンスの取り組みを横断的に統括するとともに、同委員会を中心に役職員教育等を行っております。しかしながら、将来にわたって法令違反等が発生する可能性が皆無であることを保証するものではなく、法令が改正されたり法令解釈が当局により変更された結果、法令等に抵触して当社グループのブランドイメージが低下したり、発生した損害への賠償金等の支払い又は遵守のための費用が増加した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

②、品質問題によるリスク

当社グループの製品は、多くの産業分野で、とりわけ自動車、航空機、医療機器等、人命を担う最先端製品にも数多く使用されております。 このため社会的責任とともに高い品質保証が求められることから品質問題に伴うリスクがあります。そこで当社グループでは、「ミネベアミツミグループ品質方針」に基づき、経営理念の徹底をはかるとともに、品質保証体制を確立させ品質の確保に取り組んでおります。また、品質保証本部による製造現場での品質向上活動に加え、不測の事態に備えての各種損害保険付保によるリスクマネージを行っております。しかしながら、当社グループの瑕疵において重大な事故、顧客の生産停止及びリコール等の事態が発生した場合、多大な費用の発生や社会的信用の低下により経営成績及び財政状態等に影響を及ぼすことも考えられるため、あらゆるリスクを想定しリスクの低減活動を行っております。

③、情報セキュリティによるリスク

当社グループは、事業活動の中で多くの重要情報や個人情報を入手することがあり情報セキュリティによるリスクがあります。このため、当社グループでは情報セキュリティ体制が適切に運営されているか検証する目的から情報セキュリティ委員会を設置しております。また情報セキュリティ教育の一環として理解度テストを励行し、機器の紛失・盗難、不注意等による情報流出の防止に努めリスク回避の対策を実施しております。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出し、社会的信用が低下した結果、多額の費用が発生する場合は、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

④、研究開発に対するリスク

当社グループは、新製品を継続的に市場投入し、将来の売上高、収益の目標達成に貢献できるよう基礎研究、要素技術開発、製品開発及び生産工程開発を含む研究開発活動を行っております。研究開発の成果創出には不確実性が伴いますが、これを想定の範囲内に収めるべく、研究開発プロジェクトの進捗・費用については、「研究開発管理規定」等に則り、効果的かつ効率的な管理を行っております。しかし、想定に反して研究開発の成果物が適時創出できない場合、あるいは競合他社が当社の研究開発の成果物を凌駕するもので対抗してきた場合、将来の売上高、収益の目標達成ができず、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

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