CFOメッセージ

更新日: 2022年9月30日

画像:取締役専務執行役員 吉田 勝彦 - 成長性、収益性、安全性のすべてにこだわり続け企業価値のさらなる向上を実現してまいります

世界は今、さまざまなマクロ環境の変化にさらされています。そのなかでも安定的な成長を続けていくためには、それらを乗り越えていくことができるレジリエンスを維持・強化していくことが不可欠です。当社では、シナジーのある多様な技術・製品・市場でビジネスを相合することにより、リスクを軽減しています。さらに、そのための迅速なM&Aや設備投資を可能にするためにも、財務体質を維持、強化していくことは不可欠です。
私はその責任者として、設定した財務戦略と資本政策を確実に実行してまいります。具体的には、キャッシュ・アロケーションを適切に管理し、財務基盤を強化するとともに、投資家の皆様にもご満足いただける株主還元を実施してまいります。また中長期的なポートフォリオの検討にあたっては、ROICを始めとした資本コストを意識したコントロールをすることで、投資効率の最大化と経営資源配分の最適化を実現し、企業価値の最大化を目指してまいります。

財務戦略と資本政策

財務戦略

画像:ネット有利子負債/フリーキャッシュ・フローの推移

当社グループは、「財務体質の強化」を基本方針として、効率的な設備投資、資産運用および有利子負債の削減等に取り組んできました。高収益のコア事業への比重を高めるポートフォリオ改革や実効性の高いM&Aを実現し、適切かつ機動的に財務戦略を実行してきました。2022年3月期は、半導体不足、原材料価格高騰、新型コロナ等の逆風にあっても、主力事業である3本槍+1(ベアリング、モーター、アナログ半導体および光デバイス)を中心とする分散した事業ポートフォリオが収益を押し上げました。しかしながら、サプライチェーンの混乱等により、原材料を中心に一時的に在庫の積み増しをおこなったことからフリーキャッシュ・フローは減少しました。2023年3月期末のネット有利子負債は、前期末に比べ増加することを見込んでいます。これは主に、ミネベアミツミ 東京クロステックガーデン取得に伴う支出および2022年7~8月にかけて発表した3件のM&Aによる支出を予定しているためです。しかしながら、分散した事業ポートフォリオによる全社的な収益力の押し上げによる、高いキャッシュ創出力により、今般発表したM&Aの支出などを除いた場合、前期末同等の水準に収まることを想定しております。今後はウィズ・コロナに移行することでM&Aはさらに活発化すると考えられます。この好機をとらえ、オーガニック(自律)成長と高いキャッシュ創出力をいかしたグローバル規模でのM&Aによる成長に加え、社会的課題解決製品の開発などの新たな事業機会の獲得に一層注力します。さらに、成長性と収益性を高め、キャッシュ・フローの最大化をはかり、財務体質をより一層強化するとともに、コア事業「8本槍」の強化に向けた実効性の高いM&Aの実現と株主還元の充実へ機動的なアロケーションを実行してまいります。

画像:売上高2.5兆円、営業利益2,500億円達成に向けた主要指標

キャッシュ・アロケーション

創出した営業キャッシュ・フローは、オーガニック成長の原資として研究開発や設備投資に優先的に充当する予定です。またネットD/Eレシオ0.2倍の範囲という財務規律の維持を前提に、フリーキャッシュ・フローの50%と借入金を用いて、実効性のあるM&Aの実施を積極的に検討してまいります。このような方針のもと、2022年3月期の設備投資は735億円、研究開発費は371億円(対売上高3.3%)となりました。2023年3月期計画については、設備投資はミネベアミツミ 東京クロステックガーデン取得に伴う支出を含め、タイにおけるボールベアリング事業の生産能力拡大に伴う投資等により1,400億円、研究開発費は380億円(同3.2%)としています。

画像:キャッシュ創出力を背景とした資本配分

株主還元

株主の皆様への利益還元を強化する方針のもと、年間配当金については、原則として「連結配当性向20%程度を目処」とし経営環境を総合的に勘案し、継続して安定的な配当を目指しています。
2022年3月期の1株当たり年間配当金は、創業70周年記念配当金8円を除いた前期実績28円から8円増額の36円としました。2023年3月期の株主還元については、営業利益計画を達成することができれば、40円程度を目指していきたいと考えております。
これからも配当と自社株買い等の実施も含め、継続的に安定した利益配分を維持しながら、株主資本の効率向上と株主へのより良い利益配分を第一義とし、さらには当社の財務状況、株式市場の動向等を勘案し、中長期的にフリーキャッシュ・フローの50%を目途に、適切かつ機動的な株主還元を進めていきたいと考えています。

財務基盤

株主の皆様へ継続的な利益還元をおこなうためには、財務基盤の安定性確保が最重要事項と考えています。格付については、格付投資情報センター(R&I)からA格を、日本格付研究所(JCR)からA+格と、2つの格付機関から高い評価を受けています。自己資本比率については、短期的にはM&Aの実施状況により変動する可能性がありますが、中長期的には50%以上を維持し、財務基盤の安定化を目指します。

価値創造経営

当社グループは、資本コストを6%程度と推計し、それを2%程度上回る8%を投資判断における最低限のハードル・レートと設定したうえで、事業ごとの資本コストを把握し、適切な財務戦略を実行することで資本効率の向上に取り組んでいます。
売上高2.5兆円、営業利益2,500億円を達成するための支えとして、当社ではROEに加えて事業別の収益管理指標としてROICを用いて目標とする資本コストを収益力が上回るか否か、事業別の現状と見通しを検証し、研究開発・M&A・事業撤退を適切に判断しています。
事業別での収益性改善に向けた取り組み手法としては、ROIC逆ツリーを用いて利益率改善と投下資本の削減に取り組み、事業ポートフォリオの収益力強化と全社ベースでの投下資本の最適化を同時に実現してまいりました。2022年3月期においては、効率的な投資により投下資本の増加を最小限に抑えつつ、主力事業である3本槍+1(ベアリング、モーター、アナログ半導体および光デバイス)を中心とする分散した事業ポートフォリオによる収益力向上に注力した結果、ROICは10.0%と2021年3月期に比べて3.4%の大幅な上昇となりました。
今後もコーポレートガバナンス・コードが求める持続的成長と中長期的な企業価値の向上への取り組みに沿った事業戦略策定と事業運営を目指し、ハードル・レートを上回るROEとROICの持続的な実現と資本コストの低減に向けたリスクマネジメントの実践、および製品競争力強化を支える財務戦略を実現することで企業価値向上を実現してまいります。

画像:ROIC
画像:ROIC

事業ポートフォリオ戦略

事業セグメント別の売上高の成長性とROICに着目し、当社の事業ポートフォリオの現状および将来性を下記のとおり考えています。また、投下資本については、補助金等も活用しながら、効率的な設備投資を実行するとともに、事業セグメント別で在庫などの運転資金を適切な範囲にコントロールすることで、経営資源の最適化に取り組みます。

機械加工品事業

コア事業であるベアリングを中心として、自動車の高機能化・EV化による員数増加やデータセンター市場の拡大・成長が見込まれます。また、コロナ後の旅客需要の回復、航空会社におけるCO2削減の取り組みにより、省エネ性の高い新造機の需要が増加していくことで航空機関連についても将来的に高い伸びが見込まれます。当社としては、今まで培った超高品質な製品を、お客様の需要に合わせ適宜供給し続けるために、絶え間ない生産性の改善と積極的な設備投資により、現状の高い市場シェアと利益率の維持を目指し、事業を拡大していきます。

電子機器事業

電子機器の成長ドライバーは、これまで当社の収益を牽引してきたサブコア事業であるバックライトから、コア事業であるモーターに移行しつつあります。自動車の電装化により一台当たりのモーター搭載数の増加が見込まれており、環境・安全・快適機能などのニッチ分野の製品開発に注力することで、より一層の売上拡大・収益性向上が見込まれています。また、コア事業である、センシングデバイスの車載向けおよび産業向け(成型機等)の拡販を進めるとともに、新たな市場を創造しつつあるレゾナントデバイスの収益寄与も見込んでおります。

ミツミ事業

サブコア事業であるゲーム向け機構部品に加え、今後はサブコア事業の光デバイスとコア事業のアナログ半導体の両輪が成長を牽引します。
光デバイスは、お客様の開発ロードマップに沿った製品を迅速かつ確実に開発し、量産体制を構築することで、当社製品の搭載率上昇と次世代技術への移行を進め、売上高の拡大と高水準の利益の獲得を目指します。アナログ半導体は、2021年7月に取得した滋賀工場の立ち上げによる供給能力の拡大とMEMS拡販シナジーとオーガニック成長の両輪で、2025年3月期で売上高1,000億円を目標としています。その他のコア事業である、コネクタ、スイッチ、電源についても、社内シナジーの創出や積極的なM&Aの模索で、NEXT半導体を目指します。

ユーシン事業

コロナ禍の車載市場減速の影響により、事業別ROICでは唯一ハードル・レートの8%を下回っております。しかしながら、2021年3月期におこなった欧州事業の構造改革も順調に進んでおり、自動車生産の回復とともに生産が引きあがることで着実に利益化すると考えています。加えて、CSD、Flush handle、e-Latch等の高付加価値品へのシフトを加速することでさらなる収益力の強化を達成していきます。

画像:セグメント別ポートフォリオ

中期事業計画

コア事業のうちの3本槍(ベアリング、モーター、アナログ半導体)および光デバイスを中心に、中長期で大幅な増収増益を見込んでいます。これら複数の事業の安定的な成長が、グループ全体の収益力のさらなる向上とともに業績ボラティリティの低減にも貢献しています。
当社は、オーガニック成長、M&A成長に加え、社会的課題解決製品の開発と部品供給を新たな成長軸としています。中期事業計画では、2025年3月期に売上高1兆4,000億円、営業利益1,500億円とすることを目標としております。
M&Aについては、世界各国でコロナ規制が緩和されてきたことに伴い、止まっていた案件がようやく動き出しました。実際に、2022年7月~8月にかけては3件のM&Aを発表することができました。

画像:ウィズ・コロナに移行することでM&Aは活発化

FAQ1:2023年3月期の業績については?

今期はウクライナ問題や上海ロックダウンなど複数の不確定要素が入り混じっています。さまざまな要素を勘案のうえ、通期業績予想は売上高1兆2,000億円、営業利益1,020億円としております。また、今年の大きなテーマの一つは価格改訂と考えています。資材だけでなく物流も含め、現在、さまざまなビジネスコストが上昇しています。当社も、すべての事業で徹底したコストダウンを実施するとともに、コスト上昇分の価格転嫁がポイントではないかと思います。その実現に向けて、コストが上がった際にはお客様にご負担いただく、また、価格が下がった際にはお客様に還元をおこなう、サーチャージ制を導入することで、透明性を持った価格政策を導入することも進めていきたいと考えております。
今期も、3本槍+1と呼んでいるベアリング(航空機向けを含む)、モーター、アナログ半導体および光デバイスが業績をけん引します。ユーシンでは上海ロックダウンの影響や半導体不足も徐々に改善していくという想定のもと、前年比で大きなプラス要因となることを期待しています。大切なメッセージとしては、「今期は必ず1,000億を超える」ということです。為替は115円の想定ですが、足元の円安が続けば、アナログ半導体を中心として今期見込みを上回ることは可能と考えております。なお、今期の1,020億円の営業利益の上に点線で囲まれている部分は、東京本部ビルの売却益などにより上乗せされる部分を見込んでいます。

グリーンボンド・フレームワークで最高評価を取得

画像:当社100周年(2051年)に向けた基礎固めのための経営戦略 当社はカーボンニュートラルへの挑戦やMMIビヨンドゼロを推進し環境目標を達成するために、省電力に資する高品質ベアリング、革新的な精度向上をはかるボールベアリングや研究開発に係る費用、電気自動車の主機モーター用ボールベアリングの製造のための生産・研究開発投資、自社の脱炭素電源調達用資金としてグリーンボンドを発行するべく準備を進めています。発行にあたり設定した当社のグリーンボンド・フレームワークに関しては、JCRからグリーン性評価(資金使途)で『g1(F)』、管理・運営・透明性評価で『m1(F)』を取得し「グリーンボンド原則」および「グリーンボンドガイドライン」において求められる項目について基準を満たしていると判断されました。この結果、総合評価でもGreen1(F)と最高評価を取得しています。

リスクマネジメント

脱炭素化社会へのシフトや地政学リスクの高まりなど、当社を取り巻く事業環境は日々めまぐるしく変化しています。こうした変化に迅速かつ適切に対応するためには、利益の最大化という「攻」に加え、リスクマネジメントという「守」の強化が重要です。
当社は社長執行役員をリスク管理の最高責任者とし、「リスク管理委員会」においてリスク管理に関する重要な意思決定をおこなうとともに、具体的なリスクと対策を想定し、継続的に状況をモニタリングしています。私はCFOとして、当社の事業環境を認識かつ予想し、個々の事象がどのようなインパクトを当社の事業や業績に与えるのか、リスクや機会の発生可能性や重大性も分析検討したうえで、戦略、施策を立て、それらを具体的にかつ着実に執行することに日々注力しています。
本年度の当社グループにとって喫緊の重大課題の一つは、BCP、特に水リスク低減の取り組みと考えています。今般、洪水、干ばつ等の水リスクの高い拠点の割出しをおこないました。これらの拠点については重点的に防災マニュアルやBCPの整備、強化を進めてまいります。
また、各国の経済制裁や輸出管理規制の強化を受け、これらに迅速に対応し、かつより戦略的に事業展開するために、新たに経済安全保障に関する社内規程の策定等をおこない、経済安全保障リスク管理の整備をおこないました。

FAQ2:新東京本部ビル購入の影響は?

主力事業である3本槍+1(ベアリング、モーター、アナログ半導体および光デバイス)を中心とする分散した事業ポートフォリオによる収益力向上に注力した結果、今期は営業利益の拡大を通して営業キャッシュ・フローは大きく増加する見込みです。「ミネベアミツミ 東京クロステックガーデン」と名付けた新東京本部ビル取得に伴う支出を含め、今期の投資キャッシュ・フローは大きく増加しますが、2022年7~8月に発表した3件のM&Aを除いた場合、高いキャッシュ創出力により、フリーキャッシュ・フローはプラスを維持することを見込んでいます。東京クロステックガーデンをとおして、優秀な人材を確保する、あるいは8本槍を中心とした事業間のシナジーを追求することで社会的課題の解決に不可欠な新製品を生み出し続けることができれば、この費用対効果は大きなものになると考えています。

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