社長メッセージ

更新日: 2022年9月30日

画像:代表取締役 会長兼社長執行役員 貝沼 由久

100周年を見据え、新東京本部で人材を「相合(そうごう)」し、技術者の理想空間を設立

2022年3月期は、我々の創業70周年、上場60周年という記念の年でした。新型コロナウイルス感染拡大が続き、上海ロックダウンや、ウクライナ問題、原材料価格高騰などさまざまな問題が起きましたが、売上高で1兆1,000億円を超えただけでなく、営業利益、純利益ですべて過去最高を更新できたことは、非常に大きな意義を感じています。
当社の強みである、事業・生産・人の多様性が功を奏し、逆境・リスクに強い経営基盤はさらに盤石なものになっています。2023年3月期も引き続きさまざまなリスクに直面することが予想されますが、逆風の中でさらなる成長を実現し、売上高・営業利益とも過去最高を更新して、2029年3月期の売上高2.5兆円、営業利益2,500億円の目標、さらに2051年・ミネベアミツミ100周年を見据えて邁進していきます。
13年前に社長に就任したときの決算説明会で、私のミッションは①株式価値の最大化と②100周年の基礎固めであると申し上げました。このなかで、機電一体を目指す「エレクトロメカニクスソリューションズ®」という基本戦略を発表し、これが原型となり、「相合*」というコンセプトに発展しています。蓄積されたコア技術、コア事業「8本槍」により、製造、販売力は確固たるものになりました。今や、当社の売上高の半分以上が、各分野でシェアNo.1を占める製品売上によって作り出されています。
売上高1兆円の目標を達成した今、今後、2029年3月期に掲げている売上高2.5兆円、営業利益2,500億円の目標を達成するために、オーガニック(自律)成長、M&Aの両輪に、新たに社会的課題解決に資する製品開発および部品供給を加えた3輪で、当社は成長を加速していきます。
従来、当社は、GDP成長に伴って人々の生活が豊かになり、高性能製品の需要が高まり、そこで必要とされる高品質・超精密部品を供給することで成長を続けてきました。世界的な大手飲料メーカー、日用品メーカーのようなビジネスモデルといっても過言ではない安定成長の製品基盤があります。
しかし、世界が経済発展を遂げる一方で、環境問題、少子高齢化などさまざまな社会的課題が顕在化しています。我々が成長の源泉とするのは、これらの社会的課題を具体的に解決する新たなテクノロジーに必要とされる製品を含めた部品を供給することだと考えています。
少子高齢化、医療問題、自動運転、気候変動、エネルギーなどさまざまな新たな社会的課題の問題解決を技術的側面で考え突き詰めると、電動化、自動化、超高速通信、センシング(制御)の四つに集約され、そしてこれらはすべてミネベアミツミのコア事業「8本槍」に密接に関わっているのです。
遠隔地医療を例にとってみましょう。東京と大阪でリモート手術をする場合、東京から外科医の指の動きをセンシングし、その動きのアナログデータをデジタルに変換するためには、アナログ半導体や変換に必要な装置が必要になります。そして東京から大阪に高速通信でマイコンに指示が伝わる過程で、高速伝送のための超精密コネクタ、無線・通信・ソフトウェア技術が求められます。クラウドサーバーにはファンモーターやピボット、スピンドルモーターなどやはり当社製品が使用されています。さらに、大阪の手術ロボットの電動アクションのためにモーターやベアリングが欠かせません。
このように、社会的課題解決につながる最先端技術の実現には、当社製品が必ず関わっています。当社は一つの事業に特化する専門メーカーではなく、これらの成長余地のある分野を複数持つ「相合精密部品メーカー」なのです。つまり、スーパーマーケットで食生活に必要な肉、魚、野菜、酒などが売られているように、当社では最先端技術のためのエッジデバイスに必要な主要部品を販売しているのです。スーパーマーケットの商品との違いは、我々の製品には、どこにも負けない精度と、ともに使用することによるさまざまな利点があるということです。すなわち、我々の製品は単なる肉、魚、野菜、酒とは違い、一つひとつに大きな競争力があることだといえます。これらの事業はそれぞれが補完し合い、一つしかコア製品を持たない会社と比べ、8倍、それ以上の成長余地が当社にはあるのです。
そして、これらの事業を成長させ、さらに社会に貢献していくために必要なのが、エンジニアをはじめとする、多彩な「人材」です。

* 相合:「総合」ではなく、「相い合わせる」ことを意味し、自社保有技術を融合、活用してコア事業「8本槍」を進化させるとともに、その進化した製品をさらに相合することでさまざまな分野で新たな製品を創出すること。

売上高2.5兆円、営業利益2,500億円の実現に向け、強固なR&D体制を確立

これまで我々が鍛え上げてきた、ものをつくる力を「足腰」に例えると、技術力は「頭脳」、営業力は「顔/腕」といえるでしょう。70年間の間に、徹底的に磨き上げた当社の製造力はほかに類をみないまでに成長し、鍛え上げられた足腰があると自負しています。今後、より一層社会に貢献する力を発揮するためには、「頭脳」「顔/腕」となる技術力・開発力および営業力を磨き上げる必要があると考えます。
その実現のための布石の一つが、2021年12月に発表した汐留・新東京本部ビルの取得です。2022年4月15日付で、日本通運株式会社旧本社ビル(東京都港区東新橋)を取得し、現在、2023年3月の移転に向けて準備を進めております。今回の汐留への移転にあたり、新しいビルの名称を「ミネベアミツミ東京クロステックガーデン(MinebeaMitsumi Tokyo X Tech Garden)」といたしました。これは、以下の目的を常に意識し、方向性を明確にするための名称です。
2013年に現東京本部ビル(東京都港区三田)移転時に設立した東京研究開発センター(TRDC)は、設立以降、当社グループの各開発拠点の蝶番として機能し、各事業部の製品開発と、多様なコア技術を組み合わせることでシナジーを生み出す当社の「相合」活動を支えてきました。この東京クロステックガーデンへの移転・集約によってこれをさらに推し進め、技術者による新製品開発を促進する「技術者の理想空間」を構築し、新たな利益を生み出す「プロフィットセンター」を目指していきます。
汐留という都内有数の立地で当社のR&Dの中枢を構築することで、より一層優秀かつ多様な人材を獲得できると信じています。東京クロステックガーデンに先がけ、2022年5月には本社に、軽井沢本社テクノロジーセンターをオープンしたほか、関西の開発拠点を集約した大阪研究開発センター(ORDC)、半導体開発センターなど、R&D体制を徹底的に強化してきました。東京クロステックガーデンでは、これらのグループ拠点間交流ハブとして活発化させるだけでなく、社外の大学・研究機関との連携を進めていきます。
これらを通して、コア事業「8本槍」の強靭化と時代に即した製品開発を目指すとともに、技術シナジーの徹底を追求していきます。また、M&Aを通して得た多様な技術を融合し、ミツミをはじめとするグループのPMIを完結させ、一つの会社にまとめ上げるのは私の仕事だと思っています。
もちろん、移転してすぐに結果が出るわけではありませんが、社会的課題を解決する製品にもっと我々の部品をお納めしていく、そして社会に貢献しながらサステナブルに成長していくことが100周年に向けた基礎固めにおいて重要であるという考えは間違いないと思っています。
732億円の投資額は、けっして少ない金額ではありませんが、実際は土地にかかる費用がほとんどで建物償却負担は少ないこと、加えて現東京本部ビルの売却による収入を考慮すれば、実際の投資額としてはこのとおりではありません。何よりも、優秀な人材を確保する、あるいはシナジーを追求することで社会的課題の解決に不可欠な新製品を生み出し続けることができれば、この費用対効果は大きなものになると確信しています。
売上高2.5兆円、営業利益2,500億円の実現に向け、オーガニック成長で8,000億円、M&Aで5,000億円~8,000億円の成長が必要になると考えています。これらのオーガニック成長を実現するためにも、東京クロステックガーデンに多様な人材を惹きつけ、既存製品をブラッシュアップ、新製品開発を加速する人材を獲得し、成長の土台を築いていきます。

画像:売上高2.5兆円、営業利益2,500億円の実現に向け、強固なR&D体制を確立

さらなる成長に向け、M&Aも再び活発化

もう一つの成長を加速させる手段が、M&Aです。世界各国でコロナ規制が大きく緩和されてきたことに伴い、今まで止まっていたM&A案件がようやく動き出し、我々もデューデリジェンスや当社側の工場案内を再開できるようになりました。これに伴い、コネクタ事業で本多通信工業**、住鉱テック**、さらにアクセス製品事業でもホンダロックとの経営統合について発表いたしました。
当社のM&Aには大原則があります。一つは、既存のコア事業「8本槍」の強化and/or相合が期待できるもの、もう一つは、適正価格の徹底、すなわち割高なものは買わないように心掛けています。例えば、エイブリックの買収価格は300億円強ですが、当社の半導体事業は2022年3月期には売上高700億円を超え、売上高1,000億円、ひいては2,000億円を目指すことができる、ベアリング、モーターに次ぐ大きな槍に成長を遂げました。社長就任後、13年でM&Aで伸ばした売上高は5,400億円にのぼります。
また、M&Aの推進体制として、PMIのノウハウも蓄積されています。対等の精神を掲げ、優秀な人材であれば出身母体に関わりなく活躍するチャンスがありますし、経営統合した企業の名称は基本的にはそのままにして買収対象会社の社員のモチベーションの維持をはかるだけでなく、その会社のベストプラクティスを積極的に取り入れ、Win-Winの関係を築いています。M&Aは時間をお金で買う手段であると考えますが、企業文化まで買うわけではありません。
さらに、財務健全性も強みの一つです。コア事業の収益力に裏付けられたキャッシュ創出力により、大型買収も可能になっています。
M&Aを通し、コア事業「8本槍」のさらなる強靭化、収益基盤の強化を目指してまいります。

** 当社グループは、本多通信工業の完全子会社化を目的とした同社株券等のTOBの開始および住鉱テックの全株式取得を目的とした株式譲渡契約の締結を、いずれも2022年7月29日付の取締役会において決議しております。本統合報告書においては、両取引がいずれも予定どおり成立した場合に想定されるシナジーその他の将来予測を記載しておりますが、両取引はそれぞれ独立した取引として検討・実施されるものです。

経営の本質はサステナビリティ企業活動そのものが持続可能な社会の実現に貢献

私は社長就任以来「経営の本質はサステナビリティ」を信念とし、継続的な成長と持続可能性を追求し、利益の最大化とリスクマネジメントに努めてきました。そしてこの信念をもとに、シナジーの小さい「選択と集中」ではなく、シナジーの大きい「選択と集中」を心掛けて、事業、人材、生産活動などあらゆる面で多角的なリスク分散体制の強化を進めてきました。
これらの事業ポートフォリオが、逆境に強く、成長の余地を持つ盤石な経営体制の基盤につながっています。
2021年には、当社の成長、そして地球環境社会の持続可能な成長の実現に向けた取り組みを両立してより一層強力に推進していくために、経営理念の表現を改めて見直し、よりご理解いただけるように言葉を補足して、「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢くつくることで持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」といたしました。
サプライチェーン全体でCO2排出量削減が求められるなかで、我々超精密部品メーカーにとっても、GX(グリーン・トランスフォーメーション)はますます重要なものになっています。昨年100周年の基礎固めとして掲げた「QCDESS®***」戦略をより一層推進し、品質・価格・納期・サービスだけでなく、環境への配慮・効率性を徹底した製品の開発・製造・販売を徹底してまいります。
昨年から「MMIビヨンドゼロ」と命名して、当社製品をご使用いただくお客様における温室効果ガスの排出削減への貢献を定量化することを始め、今年も大きな成果を挙げました。引き続き、ミネベアミツミグリーンプロダクツをはじめとする省エネ性能の高い当社製品の販売普及により、世界における温室効果ガス削減に貢献してまいります。さらに、太陽光発電の導入などによるカーボンニュートラルへの挑戦を続け、これらを通して、環境面でも、社会的課題の解決により一層力を入れていきます。
ガバナンスにおいては、当社はプライム市場上場企業に求められるTCFDへの対応、独立社外取締役が4割以上を占める取締役会、独立社外取締役を委員長とする指名・報酬委員会の設置を早い段階でクリアしており、これらのガバナンス体制を引き続き強化してまいります。直近では社外取締役体制が変わり、取締役会ではグローバルな課題への議論もさらに深まっていくと期待しています。

*** QCDESS:製造業の競争力の源泉である「QCDS(Quality 品質、Cost 価格、Delivery 納期、Service サービス)」に、「Eco(環境)/Efficiency(効率)」と「Speed(スピード)」を加えた戦略

画像:経営理念

会社を支えているのは「人」人材の多様性が逆境を跳ね返しサステナブルな成長を実現

当社の社是「五つの心得」では、まず第一に「従業員」を掲げています。
2011年のタイ洪水では、現地従業員が水が迫るなか工場に残り、当社の製造最大拠点のタイでの危機を支えてくれました。また、この2022年にも予想以上に長引く上海ロックダウンのさなか、駐在員や現地従業員たちが工場に寝泊まりをするなど、献身的な努力で工場の稼働を支えてくれ、被害を最小限に抑えることができました。当社は、タイは1980年代、上海は1990年代に進出し、それぞれ40年、30年間蓄積された経営・製造ノウハウや能力を持ったエンジニアや工場マネージャーがおり、会社のフィロソフィーも理解し、有事の際は海外拠点同士で人員を補い合うこともできます。人材の多様性がリスクマネジメントにもつながり、逆境を跳ね返しながら成長する源泉となっています。これはお金には換算できない当社の強み・価値であると考えています。
従業員が一生懸命取り組んでくれれば、経営もこれに応えなければならない。信頼関係を築いて従業員を守ることが、結果的に会社を守り、サステナブルに成長し続け、株主の皆様の期待に応えることにつながると信じています。
また、ここまでの成長を実現したのは、高い目標へのチャレンジ、結果を出すことへの情熱・執念だったと思っています。当社のサステナビリティを実現するためには、トップマネジメントの後継だけではなく、ボトムアップの人材育成も必要になります。
グローバル展開、M&Aに加え、東京クロステックガーデンなど開発拠点の拡充・採用を通して、当社の人材の多様性はさらに広がっていくでしょう。さまざまな知見・経験を持つ人材がそれぞれの強みを「相合」して他社にはない新しい「価値」を生み出していていけるよう、先人たちから受け継いできた成長への強い「情熱」を共有し、100周年に向け、さらなる成長を目指してまいります。

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