社長メッセージ

更新日: 2021年9月30日

画像:代表取締役 会長兼社長執行役員 貝沼 由久

ミネベアミツミはおかげさまで、本年7月に設立70周年・上場60周年を迎えることができました。
これもひとえに、皆様のご支援の賜物と厚く御礼申し上げます。
当社は1951年7月、日本で初めてのミニチュアベアリング専業メーカーとして東京都板橋区に誕生しました。70周年の歴史の積み重ねのなかで、当社は電子機器分野に進出するとともに、ミツミ電機、ユーシン、エイブリックとの経営統合を経て、ボールベアリングからモーター、センサー、アクセス製品、半導体に至るまで、世界でも類をみないユニークな事業ポートフォリオを持つ「相合(そうごう)*」精密部品メーカーへと成長しました。
私は社長就任以来「経営の本質はサステナビリティ」を信念とし、継続的な成長と持続可能性を追求し、利益の最大化とリスクマネジメントに努めてまいりました。そしてこの信念をもとに、「選択と集中」ではなく、事業、人材、生産活動などあらゆる面で多角的なリスク分散体制の強化を進めてまいりました。新型コロナウイルス禍においても、今期当社の売上高は1兆円を目前としており、社長就任当時の12年前から売上高は4.3倍に成長し、上場来高値を更新して時価総額は1兆円を超えました。2009年の社長就任時にミッションとして掲げた①株主価値の最大化、②100周年に向けた基礎固めに向け愚直に進めてきた戦略の正しさを、数字でお示しすることができたと自負しています。
そして今、脱炭素社会の実現やSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、環境・社会課題に対する企業の姿勢がこれまで以上に求められています。これらの問題は、人類全体が避けられない使命であり、我々部品メーカーとしてもどのように貢献していくかが重要になると考えています。そこで、当社の100周年にあたる2051年に向けて、当社の成長、そして地球環境・社会の持続可能な成長の実現に向けた取り組みを両立してより一層強力に推進していくために、経営理念の表現を改めて見直し、よりご理解いただけるように言葉を補足して、「より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢くつくることで持続可能かつ地球にやさしく豊かな社会の実現に貢献する」といたしました。
当社は、長期経営目標を2029年3月期売上高2.5兆円/営業利益2,500億円としています。これまで当社は、徹底した品質改善活動により「より良き品」を効率的につくることに取り組んでまいりましたが、脱炭素社会の実現に向け、我々が目指していくこれからの「よき品」とは、お客様の製品の消費エネルギー低減に大きく貢献できる超精密部品であると考えます。そのような製品を開発し、市場における製品の差別化にさらに踏み込んでいくことは、軽薄短小な精密部品を手掛ける当社が得意とするところでもあり、今まで以上に社会に貢献し、我々もともに成長していけるものと確信しております。

* 相合(そうごう):「総合」ではなく、「相い合わせる」ことを意味し、自社保有技術を融合、活用してコア事業「8本槍」を進化させるとともに、その進化した製品をさらに相合することでさまざまな分野で新たな製品を創出すること。

画像:経営理念

「QCDESS™」Eco/Efficiencyを経営戦略の中心に

当社製品のほぼすべてが環境貢献型製品
企業活動そのものを通して地球環境改善に貢献

サプライチェーン全体でCO2排出量削減が求められるなかで、我々超精密部品メーカーとしても、GX(グリーン・トランスフォーメーション)への取り組みは喫緊の課題であり、CO2排出量削減に貢献できない部品・製品は市場から駆逐されていくでしょう。
そこで、製造業の競争力の源泉である「QCDS(Quality 品質、Cost 価格、Delivery 納期、Service サービス)」に、「Eco(環境)/Efficiency(効率)」と「Speed(スピード)」を加えた「QCDESS」を新たな100周年の基礎固めとして掲げ、品質・価格・納期・サービスだけでなく、環境への配慮・効率性を徹底した製品の開発・製造・販売を経営戦略の中心に置くことを発表しました。
もともと当社の祖業であるベアリングは、機械の回転において摩擦や抵抗を減らす役割を持ち、当社は、超精密技術により、お客様の製品の小型化、高効率化、長寿命化への貢献を強みとしてきました。そして、ベアリングだけでなく、モーターやセンサー、アナログ半導体など当社製品のほとんどが、省エネルギー化・省スペース化に貢献する環境貢献型製品です。
そこで、2019年より特に環境貢献に優れた製品を「ミネベアミツミ グリーンプロダクツ」として認定し、2029年3月期には売上高比率を90%以上に引き上げる目標です。今後、超高品質、省エネルギー化への社会的な要求の高まりとともに、当社の貢献・成長のチャンスはますます拡大していくと考えています。
このような脱炭素社会において、当社の強みをさらに発揮していくために、2021年8月1日より、長年政府で環境問題に取り組まれてきたエキスパートである深見正仁氏をチーフ・グリーン・オフィサー(CGO)にお招きし、グループ環境管理室をサステナビリティ推進部門に再編し、環境対策・QCDESSの取り組みを推進する体制を強化しています。
そして、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、自社のCO2排出量削減の推進に加え、我々の製品を通してお客様のCO2排出量削減を強力にサポートしていきます。
自社の排出量削減については、太陽光発電の導入など再生エネルギーの活用や、社内の省エネルギー化を一層推進し、長期環境目標として2031年3月期に総量▲30%(2021年3月期比)の策定をしました。
さらに、当社の超精密技術の向上や、製品の相合により、私どもの製品を使用いただくお客様の消費エネルギー低減への貢献量をさらに拡大させます。例えば、モーターにはベアリングが入っており、ベアリングが超高精度で滑らかであればあるほど、理論的には消費電力を抑えることができます。当社のベアリングは公差0.02ミクロンという超精密・微細な加工技術を用いてきましたが、この精度をさらに3倍を目標に高める取り組みを進めており、当社製品をご使用いただくことで、お客様の消費エネルギーをより一層削減できるよう尽力してまいります。また、モーターを回転させるにはベアリングだけではなく、モータードライバーを動かす半導体も必要になります。さらにモーターをつなぐコネクタ、電源と、当社の製品同士を「相合」することで、省エネルギー化においてもシナジーを発揮し、効果を最大限に高めていきます。
今後、消費者が製品を購入する判断材料として、省エネルギー対応はより重要性を増していくでしょう。自動車や家電だけでなく、航空機においてもバイオマス燃料の導入や高効率な小型エンジン機への買い替えが進むとされ、あらゆる分野で、私たちのお客様にとっても、消費者に対して環境対応を数値でお示しする必要が求められてくると考えます。当社は本統合報告書でお示ししているように製品のCO2排出削減貢献量を可視化しました。
現時点でも約175万トンのCO2削減貢献量になりますが、2031年3月期には約230万トンに拡大することを目指します。世界のCO2排出量削減に貢献し、消費者、最終製品メーカーの皆様の要求にスピーディにお応えできる準備を加速化させていきます。

「8本槍」の強靭化・新たな槍の獲得

経営の本質はサステナビリティ
コア事業での多角化と相合で持続的に成長

ミネベアミツミが歩んできた70年の歴史、そして私が社長就任してからの12年の間に、時代時代が求める製品・技術はめまぐるしく変化し、新型コロナウイルスだけではなく、景気・自然災害のさまざまなリスクに当社は立ち向かってきました。そのような逆境を何度も乗り越え成長を続けてこられたのは、コア事業の多角化と、それらの事業を「相合」するという戦略を愚直に推し進めてきた結果だと考えています。
今後さらに100周年を目指し、何があっても倒れない、サステナブルな成長を続けるために、「8本槍」と名付けたベアリング、モーターをはじめとするコア事業のさらなる強靭化、そして相合やM&Aによって9本目・10本目となる新たな槍(事業)の獲得を進めていきます。
8本槍の強靭化として、2021年6月30日には、オムロン株式会社よりアナログ半導体8インチ工場(Fab*)およびMEMS**事業を取得することを発表しました。国内の既存の前工程拠点である千歳・高塚に加え、自社で生産効率の高い8インチ半導体前工程を取得し、垂直統合生産を実現し、生産能力・製品開発・コストなどさまざまな面で競争力を向上させることができます。
さらに、同工場は生産設備・人材面においてMEMSセンサーの設計技術・周辺技術も有していることから、8本槍のなかでアナログ半導体事業だけではなく、センサー事業の強化にもつながっており、今回の買収は当社の成長戦略にとって非常に大きな意味を持つと考えています。
そして2021年8月1日には、岐阜・群馬にアナログ半導体およびミックスド・シグナル半導体の開発拠点を新設し、特にモーター制御に欠かせないモータードライバーICの設計・開発を強化します。モーターの制御にはベアリングだけでなくアナログ半導体が必要となります。お客様への提供価値の向上はもちろん、「相合」戦略によって当社内製の精密・小型モーターの制御にこのモータードライバーICを活用することで、当社モーターの高性能化に加えて省エネルギー化を一段と押し上げることが可能になります。
実はアナログ半導体はミツミ電機との経営統合時は8本槍のなかでも下位に位置付けていた事業でした。しかし、エイブリックとの経営統合にも成功し、たった4年で売上高は約3倍になり、売上高1,000億円の早期達成、10年以内に日本のアナログ半導体メーカーでも有数のポジションを占めることになる売上高2,000億円も夢ではなくなりました。
今回のアナログ半導体の強化により、ベアリング、モーター、アナログ半導体の3本の柱は非常に太く強固なものになり、従前に指摘されていたようなバックライトに頼らない利益体質を確立できました。また、サブコアのなかでもOIS(光学式手振れ補正付きアクチュエータ)やゲーム関連製品が力強く成長しています。サブコアビジネスについてもコアビジネスとのバランスとりながら、積極的に取り込んでいきます。そして、相合・M&Aによって9本目・10本目の槍(事業)の創出・獲得に注力していきます。

* Fab:半導体デバイスを生産する工場

** MEMS:Micro Electro Mechanical Systems

今後もM&Aに注力

次の10年・80周年となる2031年を待たず、当社は2029年3月期に売上高2.5兆円、営業利益2,500億円という高い目標を掲げています。
下記のグラフが示すように、社長就任時の売上高は2,200~2,300億円程度であり、これを12年で約1兆円まで伸ばすことができました。自律成長(オーガニック)面では、就任当初からベアリングの成長、モーターの黒字化などにより、この12年で2倍程度の成長を遂げており、さらなる拡大を見込んでいます。また、約5,000億円はM&Aによる成長です。これまでと同じサイズのM&Aに成功すれば、早期に売上高1.5兆円の達成が可能です。このように、2.5兆円は決して夢ではなく、達成可能な目標であると考えています。今後も、大目標の早期達成手段としてコア事業とシナジーを生み出すM&Aに積極的にチャレンジしていきます。
また、当社のM&Aは、買収金額の低さも特徴となっています。例えば、ミツミ電機ののれん代は約150億円計上しましたが、ネットののれん代はわずか3億円となりました。今後も適正な買収価格で、最大限の効果を出す案件を見極め、スピーディな成長を実現してまいります。

画像:変化を加速させるDX の推進

変化を加速させるDX の推進

IoT化、スマート化が進み、これまで以上のスピードで世の中の変化が進み、AI・ビッグデータの重要性が増すなかで、DX(デジタルトランスフォーメーション)もまた、売上高2.5兆円の早期達成に必要な改革の手段となります。製品開発から、製造、営業から調達、物流、事務部門に至るまで、あらゆる場面で最新のITツールを使用し、業務遂行力を飛躍的に向上させる取り組みを加速していきます。

ミツミ電機、ユーシン、エイブリックをはじめ、当社のM&Aはオムロン・野洲工場で累計51件、社長就任以来20件となりました。これらの経営統合を成功させてきたのは、PMI(Post Merger Integration)、特に、人と人の結合を重視してきたことが要因と考えています。当社の強みは事業、生産の多様性(ダイバーシティフィケーション)であることは既にご説明したとおりですが、人材においても、多様なバックグランドを持つ人材が集まっています。
人材登用においては、「対等の精神」を掲げ、優秀な人材であれば、グループのどの企業の出身者でも、活躍のチャンスがあることをグループで共有しています。当社は、社是である「五つの心得」のなかでも一番を「従業員」に掲げ、成長の原動力としてきました。高い目標の実現のために、私をはじめ、トップマネジメントがコーポレートスローガンにもある「情熱=Passion」を持って先頭を走り、この情熱を共有するために、グローバル規模での次世代マネジメントの育成や、マネジメントから現場まで「チームビルディング活動」など社内コミュニケーションの活発化にも力を入れています。
今後も、100周年とその先も社会にとって「なくてはならない会社」であり続けるために、世界27ヵ国・約10万人のさまざまなバックグラウンドを持つ従業員が一丸となり、これからも創業当時と変わらぬ情熱でものづくりに励み、超精密機械加工技術と大量生産技術を核に最先端技術を相い合わせ、世界のものづくり・皆様の暮らしをお支えする新しい価値の創造に邁進してまいります。
今後も、皆様の変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。

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