社長メッセージ

更新日: 2020年10月1日

画像:代表取締役 会長兼社長執行役員 貝沼 由久

経営の本質は
サスティナビリティ
事業・人・拠点
の多様性が、
リスクにぶれず、
成長し続ける会社をつくる

代表取締役 会長兼社長執行役員
(Representative Director, CEO & COO)

画像:代表取締役 会長兼社長執行役員 貝沼 由久

経営の本質はサスティナビリティ
事業・人・拠点の多様性が、リスクにぶれず、成長し続ける会社をつくる

代表取締役 会長兼社長執行役員
(Representative Director, CEO & COO)

画像:代表取締役 会長兼社長執行役員 貝沼 由久

過去の教訓を活かし、従業員を守り、
部品メーカーとしての供給責任を果たす

2020年3月期は数多くの困難に見舞われました。米中貿易摩擦、各地での台風、フィリピンの火山噴火、そして新型コロナウイルスの感染拡大。なかでも世界中に拡大した新型コロナウイルスはさまざまな業界に深刻な影響をもたらしましたが、当社も例外ではありませんでした。振り返ると、中国の武漢でロックダウンがはじまったのが1月23日、それから1週間もたたずして1月29日には対策本部を設置、以降週3回、約2時間の会議を通して私自らが本部長としてきめ細かく指示を出し続けました。会議はオンラインも活用したことから、最高650人が出席したこともあります。物理的な制約なくマネジメントのおもいや指示を直接伝える体制を整備できたことは、逆境下において今後に活きる経験値となりました。

このように、新型コロナウイルスの猛威が表面化する前に先手を打ち、徹底した感染拡大防止対策を行ったことは社外からも評価され、上海や珠海では、当社はモデル工場として現地メディアで数回紹介されました。当社は人工呼吸器や人工心肺装置などのさまざまな医療機器に、ベアリング、各種モーター、センサー、電源、半導体、コネクタなどを供給しており、このような緊急事態下で高まる医療ニーズに対し、万全の供給体制をとることで、部品メーカーとしての供給責任を果たしていると考えています。

こうした迅速な判断ができたのは、2011年に発生したタイの大洪水の経験が記憶に深く刻まれていたためです。私も現地で連日陣頭指揮をとっており、ついにナワナコン工場では「もう撤退しよう」という事態にまでなったのですが、現地の従業員が「ここに残り工場を守りたい」と訴えたのです。ヘリコプターで毎日現場を見て回っていた時、水没したナワナコン工場に自発的に残って排水作業をしてくれていた従業員が、作業をとめて2階の窓から身をのり出して下から手をふってくれたその姿・光景は、生涯忘れることはありません。また、自宅が浸水するなど危機的な状況にある中でも、毎日3,000人もの従業員が出社して土嚢を積んで主力工場を守ってくれました。当時、タイでは2工場が浸水し、主力場のいくつかは従業員の献身的な努力で守られました。

当社は経営の基本方針として社是「五つの心得」の一つ目に、「従業員が誇りを持てる会社でなければならない」と掲げています。実はそれまで私は「なぜ従業員が一番なのか。株主ではないのか」と疑問に感じていましたが、現場でこの光景を目の当たりにすることで、会社は従業員に支えられていることを心から実感しました。従業員が一生懸命取り組んでくれれば、経営もこれに応えなければならない。信頼関係を築いて従業員を守ることが、結果的に会社を守ることにつながる。当時の教訓と信念、そして数々の逆境を乗り越え、成長を続けてきた実績と自信が、今回の新型コロナウイルス対策にも確実に活かされているのです。

画像:代表取締役 会長兼社長執行役員 貝沼 由久

強みをさらに磨くために経営理念 に立ち戻り、浸透させていくことで
企業体質を強化していく

当社経営理念のもと、未曽有の危機を成長機会ととらえる

私は社長就任以降、経営の本質は「サスティナビリティ」と考えており、この実現のためには「選択と集中」ではなく、多角的な事業ポートフォリオの構築と、リスク分散体制の強化に取り組むべきであることを強く意識しています。

こうした考えのもと構築してきた「多種多様な製品を色々なところでつくる(プロダクトMix・生産地Mix)」の体制は、当社の強みとして2020年3月期の決算でお示しできたと自負しています。当社の最終製品市場は自動車、飛行機、ゲーム、スマホ、医療、スマートシティ等と幅広く分散したものです。この度自動車や航空機市場向けは減速傾向となりましたが、スマホやゲームなどの一般消費者向け製品需要増によりポートフォリオの補完関係を築いています。生産地域では、中国で感染症が流行していた時にはタイ、カンボジア、フィリピンで生産をカバーすることで、生産ラインを止めることなくお客様にご迷惑をおかけせずに済みました。5月上旬時点では日本、アジア、北米、欧州の全工場が稼働し、徐々に生産活動が回復しています。

売上高は1兆円にはわずかに到達しませんでしたが、9,784億円と過去最高を更新し、営業利益は586億円となりました。幅広い製品群や技術領域を持つ世界でも類を見ない「相合(そうごう)精密部品メーカー」としてユニークなポジショニングを築き存在感を高めることができました。また、これまで当社は「ボラタイル」というイメージを持たれがちでしたが、この10年で培われた当社のリスクに対する耐性・強靭さをお示しできたと考えています。

また、機関投資家の皆様や外部の方々からは「新型コロナウイルスは試練か?これを通してミネベアミツミの何が変わるか?」というご質問を受けることがあります。有効なワクチンなどが開発されるまでは感染拡大リスクとの闘いが続くわけで、これまでの価値観が通用しないという点では、人類にとって共通の試練です。ただし私が経営者の視点で考えなければならないのは、「この危機から何を学びミネベアミツミをどう進化させるのか」ということであり、4~5年後に振り返った際、あのコロナショックがあったから今がある、と言えるよう、会社の成長を止めずに強くしていきたいと考えます。

コロナ禍を機に、リモートワークなどで働き方の変化も生まれてきていますが、当社は少数精鋭で莫大な利益を創出するのではなく、世界27カ国、約10万人の従業員で地道に「ものづくり」をして利益を積み上げるビジネススタイルであり、すべての成長の基盤は現場にあります。リアルとリモートを上手く住み分けつつ、現場でのものづくり、対面でのコミュニケーションを引き続き重視します。

当社がこれまで成長してきた原動力は、経営理念に表れています。当社の経営理念は、サスティナブルな観点から競合他社よりも「『より良き品を、より早く、より多く、より安く、より賢く』つくることで、社会に貢献する。」です。これは資本主義の原理にのっとった考えであり、限られた資源を最大限有効に使い、産業・社会を幸せにするエコシステム概念そのものです。また当社の製品を世の中に提供することで、世界の人々の生活品質の向上や文明社会の発展にも貢献する、まさに企業価値を創造する源泉となる大切な理念です。経営理念を浸透させることで企業体質の強化を図り、持続的成長につなげていきます。

*相合:「総合」ではなく、「相い合わせる」ことを意味し、自社保有技術を融合、活用して「8本槍」を進化させるとともに、その進化した製品をさらに相合することでさまざまな分野で新たな製品を創出すること。

新たに買収したエイブリックが手掛けるアナログ半導体事業とのシナジーに期待

2020年4月30日にミネベアミツミグループに加わったエイブリックが手掛ける、アナログ半導体事業の中長期での成長性に注目していただきたいと思います。アナログ半導体は、音声や圧力などのアナログデータを電子データとして処理する際に使われるものであり、エイブリックは特に車載機器のデータ保有で使用される分野において国内シェアは約7割を誇ります。医療、磁気センサーにも強みがあり、デジタル半導体に比べて設計や製造工程においてはきめ細かい調整が必要な、きわめて日本人の強さを活かせる事業です。半導体は当社の主力事業であるベアリングと同様「産業のコメ」であり、絶対になくなるものではない一方、模倣が困難であるため、ニッチトップを狙う当社の「コア事業」戦略に合致しています。エイブリックとの経営統合により、当社のアナログ半導体の売上高は現在590億円、パワー系専業を除くアナログ半導体市場で国内第3位に浮上します。「相合」活動の質をさらに高め、営業活動の幅を深化・拡充することで10年以内に売上高1,000億円を超える規模の事業へと成長するものと考えています。

ミツミとの経営統合の成果の一つにOIS(スマートフォン用カメラの手振れ防止に使用される部品)が挙げられます。ミツミ電機の開発力とミネベアの製造技術を活かし、経営統合時は200億円程度だった売上高を、1,000億円を目標とする所まで拡大できましたが、OISは利益を出すものの技術・需要の変化が激しいという点から「サブコア事業」と位置付けていました。しかしこの度エイブリックとの経営統合でアナログ半導体が強化され、ミツミ事業に新たな「コア事業」が誕生したことで、経営基盤が一層強化されたと考えております。

ユーシン事業は自動車向けが主力であるため、足元は大変厳しい状況下にあり、2021年3月期の計画は、上半期の売上高は前年同期比で半減、下半期は前年同期並みと想定しています。しかし償却負担が重い会社ではないため、利益面では十分調整・管理が可能です。そこで、生産性の改善や固定費の削減を進める一方、ユーシン事業の強みであるロック機構に、モーターや無線などのミネベアミツミのテクノロジーを注入し、相合活動をより強力に進めることにより、自動車だけでなく、住宅設備においても電装化・無線化を組み合わせて、キーレスエントリー(スマートフォン・リモコンにてドアのロック・アンロックができる装備)の有力なプレーヤーを目指します。

8本槍の強化と「相合」活動の推進、M&Aで売上高2.5兆円・営業利益2,500億円の目標へ邁進

当面不透明要素はありますが、売上高1兆円、営業利益1,000億円のハードルはもはや決して高いものではありません。また、長期経営目標(2029年3月期)である売上高2.5兆円、営業利益2,500億円を目指す方針に変更はありません。収益力指標は従業員にもわかりやすく共有できるよう、営業利益率で10%の達成を目標としています。

当社はオーガニック(自律成長)とM&Aの両輪で成長を続けてきました。祖業であるベアリングも、ここ10年で、月産2億個から3億個まで成長しています。長期経営目標の実現に向けた基本戦略は、ベアリングをはじめとする8本槍を強くして伸ばす、相合活動を進める、M&A推進の3つです。今回のエイブリックとの経営統合では、アナログ半導体が当社の4本目の槍として強化されます。

また、「相合」活動は事業を多角化させることによりカバーするインダストリーを増やすといった「水平」のシナジーもあれば、製品開発における「垂直」のシナジーもあります。例えば、当社が手掛けるDCブラシレスモーターを作るには、品質の高いベアリング、加えて精密に回すためにモータードライバーが必要になります。このモータードライバーをミツミが、モータードライバーの位置決め制御の精度向上に必要なホール素子を、エイブリックが手掛けているのです。モーター、ベアリング、モータードライバー、ホール素子といった垂直のシナジーで品質を向上し、生産を効率化して、他社にない組み合わせで製品の付加価値を高めることができるのです。

さらに、「CLEAN-BoostR(クリーンブースト)」という製品は電池がないところでも電気を増幅 = ブーストさせることで、電池なしでセンシングが可能です。例えば当社が手がけるスマートシティソリューションでは道路灯に温湿度センサーや雨量計、冠水計など、さまざまなセンサーを組み合わせて生活に役立つデータの取得に取り組んでいます。近年日本では洪水など災害に関する情報取得に関心が高まる中、クリーンブーストは、電源がなくても電気を作ることができるため、少量ではありますがこれらのセンサーから取得した情報を、リアルタイムに現場から地方自治体の管理部門に送るといった将来像も見えてきており、より一層社会課題の解決に貢献できる製品へと進化させることができます。

M&Aにおいて、経営統合はゴールではありません。当社のスローガン「Passion to Create Value through Difference(常識を超えた違いで新しい価値を生み出す)」にあるように、私自身が先頭に立つとともに、従業員同士が情熱をもって高い目標実現に向けて議論・行動し、当社の技術、製品を有機的に結び付けて新たな製品・価値を生み出していく「相合活動」に注力していきます。

既存の事業を組み合わせたスマート製品「三羽烏」も、スマートシティソリューションだけでなく、ベッドセンサーシステム(ひずみセンサー×データロガー)、スマートLED照明SALIO(Tサリオ)(光学技術×モーター×センサー×電源)も、当社の「相合」の象徴、また当社の新たな重点市場への進出の象徴として、着実にノウハウや実績を積み重ねています。インフラとスマートフォンでは、変化や受注までのスピード感が全く異なるといったように、業界により成果が出る時間軸に差があります。自分の在任期間中に最高の業績をあげるという考え方であれば、もっと異なるやり方もあるとは思いますが、地道に継続することで次の代に花が咲く技術・事業もあり、販売においてもより多くの産業に関する販路・ノウハウを蓄積できます。それが企業の着実な成長・サスティナビリティにつながるものと考えています。

新規のM&Aについては、従来と変わらず8本槍とのシナジーを重視します。そのうえで、メディカル/ヘルスケア、インフラ、住宅設備といった新たな分野も積極的に検討します。今後新型コロナウイルスの影響次第で、素晴らしい技術を持ちながら資金的に厳しくなる会社も増えてくる可能性があります。そのような会社がもし当社と統合することで共に成長できるのであれば、ぜひその受け皿になりたいと考えています。M&Aは何よりも双方の人と人との信頼関係が重要です。これからもM&A候補先の工場や現場へは積極的に足を運び、その場での肌感覚、リアルなコミュニケーションや信頼関係を大切にしながらコアビジネスを強靭化していきたいと思っています。

新型コロナウイルスのパンデミックは確かに成長への足止めにはなりましたが、コロナ禍においてもいかに挽回し、成長の機会とするかが重要であり、私たちにはM&A含め十分取り返せる力があるものと信じています。当社の長期目標の2.5兆円は決しておとぎ話ではありません。これまでの10数年、そして今後10年を見通すなか、より高い目標を達成できると確信しています。

積極的な対話を通じて「攻め」のガバナンスを一層強化

当社の経営・事業そのものがサスティナブルであることは、これまで述べてきた中でも皆様にご理解いただけたかと思いますが、こうした私たちの事業が今後長期的にサスティナブルであり続けるために、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の側面で積極的に取り組んでまいります。

環境面においては、当社の超精密部品は、小型化・薄型化・軽量化につながって無駄なエネルギーを減らし、地球温暖化防止など省エネルギーに役立つグリーンプロダクトを数多く創出しています。一例として、カンボジアに続き、2019年秋から、東京都杉並区でも前述したスマートシティソリューション・「IoT街路灯」の実験が実施されました。当社はこのIoT街路灯のセンサーと無線技術を提供し、消費電力の大幅抑制に貢献いたしました。グループ環境管理部を中心に、グリーンプロダクツ比率を対外的に公表できる体制を昨年度構築し、比率向上に取り組んでいます。

なお、2020年8月には、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、気候変動に対して緩和、適応の両面から取り組み、情報を開示するなど地球温暖化防止により一層コミットする体制を整えていきます。

社会との関わりでは、災害や感染症に対するリスク対策として、全世界で備蓄してきた医療用マスク(N95マスク)約22万枚を世界中の医療機関に寄付しました。また、4月1日からは従業員の安全確保、社外への感染拡大防止を目的としてマスクの自社生産を開始、6月26日からは、世の中のマスク供給不足に少しでもお役に立てればとの想いから、外部販売も開始しました。当社の「五つの心得」では、「地域社会に歓迎されなければならない」こともうたっており、この社是のもと、従業員が、企業の存在意義を考え、積極的に寄付活動・生産活動に関わっています。

当社グループのコーポレート・ガバナンスにつきましては、私はこれまでもそれが形骸化しないために、多様な観点からの検証・議論を経た取締役会の意思決定パフォーマンスと監督機能の強化が重要であるという考えを繰り返しご説明してきました。2021年3月期は企業戦略のスペシャリストである芳賀裕子氏を独立社外取締役としてお迎えし、取締役会のさらなる機能強化を図ります。また、長期経営目標の達成に向けて取締役により高いモチベーションと強いインセンティブをもって業務執行責任を果たしていただくため、新たな業績連動型株式報酬制度の導入も決定いたしました。

企業経営にとってコーポレート・ガバナンスの進化に終わりはありません。特に変化の激しい事業環境下においては、これからも機関投資家をはじめステークホルダーの皆様との積極的な対話を通じて「攻め」のガバナンスを一層強化してまいりたいと思います。

この危機を乗り越え、さらに「社会にとって必要とされ続ける会社」へ

この先、多くの産業でどのような変化が起きるのかを現時点で予測することは大変困難です。しかし、コア事業の強化、相合活動の推進、M&Aを戦略の軸としてさまざまな取り組みを継続してきたことにより当社を支える柱は太くなり、どのようなリスクがあっても簡単にはぐらつかず、強靭でサスティナブルであり続けます。

ベアリング、モーター、センサーから半導体にいたる多様なポートフォリオを持つ会社はほかに類を見ず、「部品の百貨店」にも見えるかもしれません。しかしながら私たちの生産するものは互いに補い、関連するものであり、小売りでいえばSPA(Speciality store retailer of private label apparel = 企画から製造、販売までを垂直統合させ、関連するアパレルを販売するビジネスモデル)、つまり「部品のSPA」といえるのではないでしょうか。企業の成長に「多様性」が注目されていますが、当社では、製品も、工場も、人もすべてが多様であり、それが会社の足腰を強くしている強みなのです。世界各国の、さまざまな技術的・文化的バックグラウンドを持った人材が会社を支えています。これまでさまざまな危機を乗り越えてきたことで、トップから現場までが、危機に動じずに一丸となって立ち向かい、成長への情熱をもつという考え方が、10万人の従業員全員に徐々に浸透してきたと手ごたえを感じています。
こうした従業員がグローバル規模で相合活動を進めることで、ミネベアミツミに頼めば何とかしてくれる、と信頼されるような、必要とされ続ける企業でありたいと思っています。

製品も、工場も、人もすべてが多様性を持っている
その相合が、新しい価値・違いを生み、会社を強くしている

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