社長メッセージ

更新日: 2019年10月28日

画像:代表取締役 会長兼社長執行役員 貝沼 由久
画像:代表取締役 会長兼社長執行役員 貝沼 由久 スマホ用

*相合:「総合」ではなく、「相い合わせる」ことを意味し、自社保有技術を融合、活用して「8本槍」を進化させるとともに、その進化した製品をさらに相合することでさまざまな分野で新たな製品を創出すること。

「エレクトロ メカニクス ソリューションズ®」プロバイダーとして100周年に向けた基礎固めと株主価値の最大化を実行

私が当社の社長に就任した今から10年前の2009年5月に開かれた最初の決算説明会で、私は最高経営責任者のミッションとして2つの目標を掲げました。1つが当社の創業100周年(2051年)への土台づくり、もう1つが株主価値の最大化です。
私は、企業のサステナブルな成長において最も重要なことは、利益を計上し、黒字を維持することと考えます。
当時は赤字部門も多かったので、該当部門の黒字化が急務でした。また、機械・電子技術と制御技術を融合した、機電一体の「エレクトロ メカニクス ソリューションズ®」という言葉を日本で商標登録し、これが創業100周年に向けた戦略になると説明しました。ベアリングから始まり、モーター、センサー、半導体まで手掛けている異色の会社は、世界でもほかにはありません。この10年で世界で当社にしかない技術を色々な形で相い合わせる、すなわち「総合」ではなく「相合」させ、付加価値を生み出すための土台をつくることができたものと確信しています。この土台をもとに、相合製品を含めたオーガニックな成長とM&Aの両輪で当社の業容を大きく成長させることが、当社の100周年に向けた基礎固めになるものと考えています。
2019年は、ユーシンとの統合で事業ポートフォリオをさらに強化しました。また、サスティナビリティ推進部門の設置により監視と執行を分けコーポレート・ガバナンスの強化も図るなど、企業価値・株主価値を引き続き高め、持続的成長への布石を打ち続けてまいります。

最も重要なことは、人と人のシナジーの創出高い目標の達成を目指す情熱が新たな価値を生み出す

自動車産業に代表されるように産業構造が変革点を迎え、変化への対応が要求されているなか、オーガニック成長に加え、質の高い人材・技術を含めた事業そのものをスピーディーに獲得できるM&Aを継続的に実施し、自社の経営基盤を強化していくことが効率的な企業経営戦略だと考えています。この10年、国内外で17件のM&Aを実行し成功実績を積み上げてきました。これらのM&Aを実行したことで連結売上高では約5,000億円の増収に貢献しています。のれん代は約150億円計上しましたが、負ののれん代を計上した案件もありますので、ネットののれん代はわずか3億円となりました。
また、M&Aで最も重要なのはシナジーだと私は思っています。シナジーには技術やモノのシナジーもありますが、一番重視するのは人と人のシナジー創出です。人のシナジーをどう図るかというとコミュニケーションしかないと考えています。経営層、マネージャー、あるいは製造、営業、管理などさまざまな階層・部門間でコミュニケーションをとっていくことが重要です。
経営統合の場面では、いつも「対等の精神」を掲げています。優秀な人材であれば、グループのどの企業の出身者でも、活躍のチャンスがあります。そして経営理念と高い目標を共有します。よく従業員からコーポレートスローガン「Passion to Create Value through Difference」の実現に向け、「どうすれば情熱を持つことができますか?」と尋ねられるのですが、私は「高い目標を設定することだ」と答えています。容易に実現できない高い目標を達成しようとする強い意志が情熱につながると信じるからです。私自身にとっては、10年前に掲げた先ほどの2つの目標が情熱の源泉になっています。

早期のターンアラウンドとシナジー創出を目指す

画像:持続的成長の実現のためにはまず赤字部門を黒字化し利益を生み出し続けることが必要 株式会社ユーシン(以下、ユーシン)は、ドアハンドルやラッチといったロック機構を得意分野とし、主な事業領域は自動車部品に加え、産業機械、住宅設備にまで広がっています。そのうち自動車部品と住宅設備の領域は、単に技術的な観点だけでなく生産の垂直統合の観点を含めミネベアミツミの既存事業と親和性が高いことから、自動車メーカーへのプレゼンスの拡大、グローバル生産拠点・営業拠点の活用など、さまざまなシナジーを創出できると考えています。
一方、自動車・住宅設備・産業機器領域において生き残り、成長していくために電装化への対応、加えてIoTへの対応が不可欠であったユーシンは、モーター技術、センサー技術、無線技術といった要素技術を必要としていました。ユーシンは当社と一緒になることで、必要な技術を一夜にして手に入れられたわけです。お互いWin-Winの関係性であり、今回のM&Aが成功する蓋然性を高める要因だと思います。
今回の統合で、10年後にユーシンの売上高を2倍の3,000億円にする目標を設定しました。目標ができたことで、従業員の顔つき、工場の活気も大きく変わってきていると実感しています。短期的課題としては、ヨーロッパの赤字部門の再建です。持続的成長を実現するため、赤字部門を黒字化したうえで10年後にはこういう会社であるべきだというビジョン・未来図を従業員にきちんと示します。グループ全体でも実現に向けてフルサポートしていきます。

エッジデバイスメーカーとして最先端技術に貢献

この10年間、マクロ環境が大きく変化したことに加え、社会課題の解決と企業の成長をリンクさせることや、環境・社会・ガバナンス、すなわちESGを考慮した上での企業価値向上が一層求められるようになりました。次の10年は技術的パラダイムシフトを含め多様な変化に対応できる企業と対応できない企業にはっきり分かれ、当社にとってM&Aのチャンスが格段に増えてくると見込んでいます。当社はその受け皿になるノウハウがありますので、事業拡大のチャンス到来といえるでしょう。
また、どれほどAIやビッグデータなどの情報技術が進展しても、現実の世界は必ず残り、リアルなエッジデバイスは欠かせません。当社は部品メーカーですから、センシングするデバイスや、コントロールに必要不可欠なデバイスをつくって、次世代をけん引する技術に向けた新市場も切り開いていきたい。今は新たな時代の要請が次々に出てきている状況で、さまざまな技術を相合しながらお客様のご要望に応えるノウハウがある当社としては、大きなチャンスと考えています。実現のためには、R&Dにかかわるエンジニア人材の獲得が課題となりますが、インド、スロバキア、中国にR&D部隊を増やし、グローバルな開発体制の強化に取り組んでいます。

コア技術と新8本槍の相合でシナジーを創出
売上高2.5兆円は決して不可能な数字ではない

当社グループは、次の10年の基本戦略について4つの方針をまとめ、KPI(重要業績評価指標 売上高2.5兆円、営業利益2,500億円、EPS成長率CAGR+15%以上、ROE15%以上)を明確化しました。1番目が、従来の7本槍戦略にユーシンを中心とするアクセス製品を加えた「新8本槍」製品の成長です。ニッチマーケットを中心に、当社のコア技術と8本槍を相合してシナジーを創出していきます。2番目に、IoT/5Gなどをドライバーとする時代に合った新製品を市場に投入していきます。3番目に、医療、インフラ、住宅設備といった新市場を積極的に攻めていきたいと思います。そして、4番目が、M&Aの継続です。「相合力」をさらに強化できる事業ポートフォリオを積極的に拡大し、世界最強の「相合」精密部品メーカーを目指していきます。基本的には、超精密・超高品質でコア事業を強化し、サブコア事業ではキャッシュカウとして収益を最大化し、サブコア事業で創出した利益でコア事業を強化してまいりたいと考えています。
これらの基本戦略を通じて、2029年3月期に売上高2.5兆円を目指します。過去10年はM&Aで売上高5,000億円の成長を生み出していますので、次の10年で5,000億円~8,000億円のM&A実施はそれほど非現実的ではないと思います。オーガニック成長についても、10年前の2,300億円から5,000億円に成長した前例を踏まえると、これから1.8倍程度の成長は達成が可能なはずです。

「社会にとって必要な会社」を自負し、さらに取組課題を明確化

画像:グローバル約10万人の従業員と情熱を共有従業員が誇りを持てる会社に

当社は技術と製品を「相合」し、リコンビネーションすることで社会の発展や環境負荷低減に貢献する製品を供給してきました。社会からの期待や要請に応え続けていくためにサスティナビリティの重要課題(マテリアリティ)を新たに特定し、優先して取り組むべき重要テーマを明確化しました。
マテリアリティの中でも、最重要テーマに掲げているのが、「すべての従業員が誇りを持ち、力を最大限に発揮できる職場づくり」です。これを実現するための私の役割は、次世代リーダーをしっかりと育成し、経営理念を共有するマネジメント層を1人でも多く増やしていくことだと認識しています。グローバル約10万人で様々な国、文化を持つ従業員がいるダイバーシティな環境のなかで、ミネベアミツミグループの一員として同じ企業文化、情熱(Passion)、プライオリティで動ける人材育成の仕組みを構築する必要性を感じています。
また、グリーンプロダクツ認定制度も導入しました。我々の製品はそもそもすべて小型で精密なダウンサイジングを可能とする、省エネ、省スペース化に貢献できる製品だと考えています。ベアリングやモーターは、精密技術で無駄なスペースを省き、効率を高め、省エネルギー化に貢献しています。スマートLED照明「SALIOT」、高効率LED道路灯と無線を組み合わせたスマートシティソリューション、介護用ベッドセンサーシステム®なども、照明作業や介護における労働力の負担を軽減し、やはり省エネルギー化に貢献しているといえるでしょう。「Passion to Create Value through Difference」のバリューは利益を生み出すだけではなく、省エネによる価値創造でもあると私は思っています。つまり、我々の企業活動そのものが、エネルギー効率に大きく貢献しているものと自負しております。
1990年代から当社はいち早く環境問題に取り組んできました。「五つの心得」という社是に込めた、世界に貢献したり地域に歓迎される企業でありたいという思いは今の我々も継承しています。地域で歓迎されるためには当然、地域の環境を守らなければいけないということで、90年代からいち早くベアリングの生産に関わる100%廃水リサイクルを一部工場で始めました。資材調達においても、一緒に環境を守っていただけるベンダーを我々の取引先に選んでいます。「五つの心得」の最初に「従業員が誇りを持てる会社でなければならない」と掲げていますので、環境に悪いことをしていては、従業員が誇りを持てません。この社是から来る行動パターンの帰結が環境保護につながっています。

経営体制の強化を図りながら、地政学・産業別リスクへの対応も徹底

コーポレート・ガバナンスが形骸化しないためには、多様な観点からの検証・議論を経た取締役会の意思決定パフォーマンスと監督機能の強化が重要だと思います。そのため社外取締役を増やし、業績の低迷が続いた時に社長交代の提言や、「少し考えてみてはどうか」と熟慮を促してもらうことを期待しています。また、監督機能強化の役割を担う組織として、2019年4月にサスティナビリティ推進部門を設立しました。同部門では、コンプライアンス推進室、CSR推進室、内部監査室、内部統制推進室、および安全保障貿易管理室、貿易法令遵守管理室が集約されています。事業部門から指揮命令系統を明確に分離・独立させたことで、グループガバナンスの監督機能を強化できました。
また、リスク対応力も当社の強みです。地政学的リスクについては、製造拠点は22カ国83拠点あるので、貿易摩擦や為替など、どこかの国で問題がおきても、別の国で対応することができます。技術面でも、技術はどんどん入れ替わり、製品も入れ替わっていくということをこれまでずっと経験し、乗り越えてきました。事業環境の変化への対応力・スピードには自信を持っています。産業別のリスクにしても、ある産業が落ち込んでも他の産業がカバーして、全体としては成長することができる。多角的な事業ポートフォリオを持つことは、リスクへの対応でもあるのです。

相合力を高め、高い目標に果敢に挑戦

一般的にはコングロマリット・ディスカウント(多くの産業を抱える複合企業の企業価値が事業ごとの企業価値の合計よりも小さい状態)という言葉がありますが、私としては「コングロマリット・プレミアムを付けるべき会社があるでしょう」と言いたい。コングロマリット・ディスカウントになってしまう会社は、私が見る限りシナジーのない事業をしています。シナジーがなければ、「相合」力はありません。ミネベアミツミはM&Aで事業ポートフォリオを広げてコングロマリット(多角化)経営を展開していますが、すべての事業にシナジーがあり、相合できます。
こうした戦略をぶれることなく貫き、これからも「従業員が誇りを持てる会社」であり続けるために、高い目標に挑戦する「情熱」を共有する組織を創りあげてまいります。

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