Talk Session 01 技術部門キーマン座談会

技術を積み重ね、未来をつくる。
誇りを持って挑戦を続ける、
ミネベアミツミのものづくり

IoTやスマートモビリティなど、新たな社会のインフラを支えるための各種プロダクトに強みを持つミネベアミツミ。技術力の原点ともいえる研究開発部門を束ねる3人のキーマンは、ものづくりの未来をどう見ているのか。また、ミネベアミツミの研究開発体制や、求める人材像についても語ってもらった。

Profile

  • 鈴木 克敏

    技術本部
    電子機器 技術開発部門 技術役員 副担当

    1986年入社、機械工学出身。入社後磁気記憶装置、周辺機器用モーター、車載用モーターと一貫して設計技術に携わる。現在は技術役員という立場から、モーター全般の技術開発を担当。

  • 田中 慎二

    技術本部
    東京研究開発センター(TRDC)長

    元大手電機メーカーの半導体部門で開発・営業等各部署責任者を歴任。2012年にモータ制御技術開発担当として入社。現在はTRDCのトップとしてロボット関連等新規事業開拓の責任者を務める。

  • 坂口 雅彦

    技術本部
    ミツミ技術開発部門 副担当

    厚木事業所にて開発部隊を統括。ミツミ初期のマイコン応用製品や自動制御応用製品の開発に従事。専門はアナログ、デジタルの回路設計。

Talk 1.ものづくりへのアプローチ

長期に渡って技術を追求する風土。
統合によるシナジーで新たな価値創造を

ミネベアミツミはこれまでも多種多様な製品を生み出してきましたが、
新たなものづくりに踏み出すとき、どのようなアプローチを取っているのでしょうか。

鈴木:大きく分けて二つのアプローチがあります。一つは、世の中のトレンドをベースに、私たちの持つ要素技術をどのように組み合わせれば市場に訴求できるかを考えるやり方。もう一つは、なんらかの強みを持つ要素技術をベースに、演繹的に製品を導き出すやり方です。前者だと「ベッドセンサーシステム」がそうですね。これは高感度センサーを内蔵したユニットをベッドに取り付けるだけで、非接触で体重や体動、その他の生体情報をモニタリングできるシステムです。高齢化社会や介護現場の人手不足といった課題に対する、ミネベアミツミとしての提案になります。

田中:後者の場合は、10年以上かけて手がけてきたテーマが、あるとき急にソリューションとして脚光を浴びるケースです。粘り強く研究開発を続けるからこそ得られる成果で、いい意味での諦めの悪さがある(笑)。ただ、それだけの長期間に渡り、技術に投資できる企業というのも珍しいのではないでしょうか。スマホに搭載されている導光板もそうですよね? ディスプレイを均一に明るく光らせるためには、今や欠かせない部品です。

鈴木:はい。液晶画面のフロントライトで培った、プラスチックの微細加工技術から生まれた製品です。当時は携帯電話や電子辞書を想定して、どこよりも薄く、均一でムラのない品質を追求したところ、スマートフォンで爆発的にシェアが伸びた。これも長い間、技術を磨き続けた成果だと思います。

2017年にミネベアとミツミ電機が経営統合して、ミネベアミツミが生まれました。
この統合によるシナジーについてはいかがでしょうか。

坂口:私はミツミ電機の出身ですが、先ほどの話の流れで挙げるなら、ミツミ電機が長らく追求してきたもののひとつに、集積回路などの半導体製品があります。旧ミネベアが持つ精密機械やモーターなどの制御系技術と、ミツミ電機が持つ半導体や通信系といった電気・電子系技術が一緒になる、というのはやはり大きいでしょうね。

田中:半導体が入ることによって、例えば制御系ならよりコンパクトな実装が可能になります。ロボットへの応用など、可能性が大きく広がりました。それがまさに、ミネベアミツミが標榜する「エレクトロ メカニクス ソリューションズ®」ということです。

坂口:これらの技術はレゴのパーツのようなもので、組合せ次第では答えが無限に膨らみます。統合のシナジーについては、ウェアラブル機器向けの「レゾナント(共振)デバイス」など、すでに一部製品の設計・生産の現場で発揮されています。しかし、これはまだまだ端緒であり、これからもっと本格的な成果が出てくると思います。

鈴木:それらの要素技術を磨く各事業体同士の連携も密に機能しています。東京、軽井沢、浜松、厚木といった国内の各拠点をはじめ、スイスやドイツにある提携企業との技術交流も盛んです。

田中:拠点の枠を超えて「あそこのチームとここのチームとで共同プロジェクトをやろう」といった人材交流も当たり前のようにあります。電気、機械、化学、ITなど各分野において、ミネベアミツミ全体を見渡せば詳しい人が必ずどこかにいる。こういうメーカーは実際のところあまり多くはありません。

鈴木:こうした技術者同士のシナジーの機会が社内のあちこちにあることが、ミネベアミツミの開発力のベースになっています。現場のマネジメントでも「誰をどこにアサインすればプロジェクトの成果を最大化できるか」が常に意識されていますし、実際にそれが新製品の開発のスピードや質を上げる結果にもつながっています。

Talk 2. 研究開発と
ものづくりの面白さ

顧客の課題を見極め、リソースを束ねる
「プロデューサー型」エンジニアとは

先ほど「トレンドを追う」という話題が出ましたが、
技術開発において未来を見据えた動きなどはあるでしょうか。

鈴木:近年は以前よりも製品のライフサイクルが短くなり、ニーズも多様化している。そういう意味では、3年後を予測することさえ困難です(笑)。ただし、大きな市場で言えば、例えば自動車などは、ある程度来るべき近未来の青写真が見えています。電気自動車はもちろん、自律走行やクルマ同士が通信でつながる「コネクテッド・カー」などです。

坂口:回転部品に必要なボールベアリングはもとより、自律走行に欠かせないミリ波レーダーや各種センシングデバイス、インターフェイスに必要なディスプレイ用バックライト、そしてネットワークとつながるためのIoT機器など、スマートモビリティ時代のクルマには、ミネベアミツミが持つ技術を応用できる領域が非常に大きいですね。

田中:未来を予測することは困難ですが、どこに向かっているのかを見ながら技術を磨くことは可能です。今、東京研究開発センターでは、ロボティクスを一つのテーマとして研究しています。例えばアーム型のロボットを研究すると、逆に人間の身体がいかに精密に機能しているかがわかります。この感覚系や運動系をセンサーやモーター、そしてAIでどこまで再現できるか。ロボットはまだまだ発展途上であり、いつ頃どのような形でさまざまな課題を解決していくのかはわかりませんが、それらの要素技術はきちんと持って世の中にないような新製品を出していく、というのが今のスタンスです。

坂口:さまざまな分野でかなりの数の開発テーマが走っていますが、最終的に8割くらいは一旦棚上げになります。それくらい、研究開発の成果を最終的に製品として市場に届けることは簡単ではありません。でも、その過程で磨いた技術はノウハウとして組織に蓄積されます。それが、どこかのタイミングで何かの役に立ったりする。未来がわからないからこそ、さまざまな要素技術を温めておくことが大切だと思います。

それだけ技術の蓄積があれば「こういうソリューションがあります」と技術主導による顧客提案も有効ではと感じます。

鈴木:そのとおりです。マーケティングについては、エンジニアがもっと前に出なくてはと考えています。ミツミでは以前からエンジニアがどんどん外に出ていましたよね。

坂口:はい。例えばスマホの部品ひとつとっても、技術の人間が直接顧客と話をして「こういうのはどうですか」と提案しています。関連分野の知識はもちろんのこと、顧客の反応を直接感じ取り、想像を働かせ、「だったらこういうのは」と意図を汲んだ提案を返す。これはエンジニアでないと難しいですね。

鈴木:ミネベアミツミになってからエンジニアも提案活動に加わるようになり、徐々に成果が生まれています。製品のライフサイクルが短くなったことで、ある製品分野での「一番乗り」に大きなチャンスが巡ってくる時代。オンリーワンよりも「アーリーワン」になるためには、エンジニアによるスピード感ある対応は必要不可欠でしょう。

では、ミネベアミツミでエンジニアとして働く面白さややりがいについては、
どこにあると思われますか?

坂口:裁量の大きさではないでしょうか。製品仕様の範囲内で、どの部品をどういう構成で実装するか、個人の裁量で追求できます。時間や費用といった制限のなか、ギリギリのところに挑戦するのもいいでしょう。お仕着せのプラモデルを組み立てるのではなく、自ら作り上げるところに面白みを感じると思います。

田中:そうですね。ミネベアミツミが持つあらゆる技術を組み合わせられますし、他の技術者の力も借りられます。先ほどのマーケティングの話に戻れば、顧客の課題を自ら見極め、そのまま解決まで導くわけです。つまり、ものづくりの核となる部分をやるということ。面白くないわけがない、というのが正直なところです。

鈴木:さまざまなリソースを組み合わせて新たな価値をつくれる「プロデューサー型」のエンジニアが増えてほしいですね。ワールドワイドで考えれば数千人の技術者がいるわけですから、国をまたいだチーム編成もできるでしょう。フィールドはありますから、好奇心さえ持てば世の中にないものができるはず。若手エンジニアが企画をプレゼンする機会も定期的に設けていますので、実現に至る日が楽しみですね。

Talk 3.これからの製造業と
求める人材像

ものづくり企業の代表として
リスクを取りトップを走り続ける

「プロデューサー型エンジニア」というキーワードが出ましたが、
他に皆さんが求める人材像について教えていただけますか?

鈴木:リスクを取れる人でしょうか。「これだけやれば安泰」というものはありませんし、競争の舞台は国外へと移ってきています。新たな製品、新たな地平に立ち向かうためには、自発的にリスクを取りながら踏み込んでいく力が必要です。「こんなものをつくるんだ」というエンジニアとしての「エゴ」を出して、愚直に進んでほしい。もちろん、失敗で評価が下がるようではリスクを取れませんから、そういう人を後押しする仕組みをつくる。それはここにいる私たちの仕事です。

田中:私が大切に思うのは、物事に主体的に取り組むかどうか。何ごとも「自分ごと」にしていかないと、仕事は面白くならないし、本人も成長しない。自らチャレンジしていく姿勢がほしいですね。たとえ失敗しても、どんどん仮説と検証を回していけばいいのです。成果を出せる人というのは、成果を出すまで諦めない人です。

坂口:それは私も思いますね。新卒採用やキャリア採用の面接を行うことがありますが、成績よりも行動に注目しています。何らかの研究をしたのなら、その仮説は誰が立てて、実験の内容はどのようにして決めたのかを必ず聞きます。アクティブに行動している人なら、入社後もそういう動きをしてくれるはずですから。

最後に、今後の「ものづくり」について、それぞれのご意見をお聞かせください。

田中:世界規模でのものづくりの変化という意味では、ドイツの「インダストリー4.0」や中国の「中国製造2025」など、国際的に製造業の高度化を目指す取り組みがあります。ものづくりは日本のお家芸と言われてきましたが、もはや安泰ではありません。だからこそ、これから技術者を目指す方々には、新しい時代をつくるつもりで挑戦してほしいですね。

鈴木:これまではニッチなフィールドを追求してナンバーワンになるのが、ものづくり企業における「勝利の方程式」でした。ところが、今ではそうした「ナンバーワン」をいくつ持てるのか、という競争に変わってきています。新たな価値を生み出し続けなければ、今のポジションは守れません。個々の技術者が能力を存分に発揮できる体制を整え、ものづくり企業としてトップを走り続けたい。

坂口:思い返すと、この20年で世の中は劇的に変化してきました。当時はスマホも、自律走行のクルマもありませんでしたから。しかし、人が「通信」や「移動」をする、ということ自体は変わっていない。その手段が置き換わっているだけです。未来を見通すことは難しくても、この先も技術革新の中心には常に「人」がいる。私たちの技術が、社会や人の暮らしをより良いものに変えていくと信じて、誇りを持ったものづくりをしていきたいですね。

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